TSUTAYA WAY ガーデンパーク和歌山店

chakichaki2005-01-22

先月OPENしたばかりの和歌山のメガショップです。住友金属スポーツセンターの跡地である広大な敷地に、巨大な820坪のスーパーマーケットと10スクリーン2000席のシネコンとスタバと広い150坪のCDショップに250坪のレンタルビデオ、そして680坪の巨大書店を作っちゃった、というものです。しかも24時間営業。書店といえば宮井平安堂ぐらいしかない和歌山のこと、黒船襲来以来のショックだったことでしょうって、言いすぎですか。
というわけではるばる和歌山まで行ってきました。場所は紀ノ川河口近くの工場街にあるので、車でしか行くことは出来ません。紀ノ川大橋を渡ると、おお見えてきました、巨大です。なんと国道に駐車場に入る専用の信号があります。すごいです。敷地内に入ると見渡す限り駐車場です。えー、1200台だそうです。まぁ、でも半分以上空いてますのでどこでも駐車可能な状態。運転下手な私にはありがたい所です。
構成としては1Fにスーパーとスタバと書店とCD屋、2Fにシネコンとレンタルとなっています。ここを作ったのはオークワという地場のスーパーチェーンなので、メインはスーパーです。ちょと入ってみます。
えー、でかいですね。スーパーの定石通り売場は反時計回りに壁に沿って周回するように作られています。普通と違うのはそのメインの周回通路がやたら幅広くて、そこにイベント的な平台や屋台みたいな売場がそこら中に点在していることでしょうか。しかもそこにちょと高級感も演出してあって、なかなか楽しい買い物が出来そうです。でもお客さんが少ない。廃棄ロスも多いんだろうなぁなどと考えてしまいました。

書店部分は実はこのスーパーに直結しています。直結している部分は児童書売場です。知育玩具もちゃんと置いてあって基本はいいのですが、なんかただの通路になってしまってますねー。児童書はワールド化できてないといい売場にならないのですが、ここはできていません。ワールド化するためには敢えて袋小路をつくらないとダメということに気づかされる売場です。
えー、カウンター前に来ました。どうも、どう歩けばいいのか迷う売場です。基本としては、入口にスタバがあって、その隣に雑誌とアート、で新刊に文芸、文庫と並んでいてさらにはビジネス・人文と、奥に行けば行くほど専門的になっていく構成です。さらにその奥は売場のレベルが50センチぐらいあがっていて、理工系専門書・PC書籍・学参となっています。コミックは独立した売場になっていて、反対側の入口近くにあります。簡単に解説しましたが、これ把握するのに15分以上かかりましたよ。大体主通路が分散しているから売場の強弱が見えないわけですし、効率的にベストセラーや新刊を売ることもできません。実際エンド平台やイベント平台の大半は死んでいるように見えます。ってゆーか、芥川直木賞すでに決まってるのに「芥川賞受賞」帯つきで全面展開されてるのが「蹴りたい背中」ってのはやばくないか?角田光代阿部和重も影も形も見当たらないのですが・・・。

エストのようにゾーン分けされているわけでもなく、フタバのようにサインが見やすいわけでもなく、オリオン書房ノルテ店のようにしっかり回遊性が考えられた主通路をつくっているわけでもないのに、超バカでかい。コーチャンフォーのような売場MAPもない。迷いますよ、これは。本屋云々を語る以前に商売の基本として、設計した人は根本的に売場構成レイアウトの基本概念を知らんのですか。こんなもん、探せるかー!
と思ったら、売場在庫検索機が導入されていました。最新型のメトロンです。こんなに探しにくい売場では、こいつに頼るしかありません。使用頻度はかなり高いのではないでしょうか。

個々の棚を見てみましょう。什器はブックファーストっぽい什器です。スリム什器を使ったらしく、B5サイズの本がはみ出ていて使いにくそうです。ジャンル構成はフタバっぽい分け方ですね。ストッカーはありませんが、それの弊害でパンパンに在庫が詰まっていて、同じタイトルが5冊とか差しで突っ込まれている棚もちらほら。運営レベルが追いついていないようです。売場崩壊の前兆ですのでご注意ください。仕切板もささってたりささってなかったり。まだまだですな。
コミック売場に来てみました。コミック売場はセキュリティゲート付きの壁に囲まれ、全商品セキュリティタグがついています。随分万引きを警戒しています。しかし大層なことをしている割にはコミックの在庫自体はかなりしょぼく、そこらへんの郊外店と大して変わりません。ちょと自意識過剰なんじゃないでしょうか。そのせいなのか、私が行った時はコミック売場に私以外誰もおらず、場違いな雰囲気に思わず緊張してしまいました。
そんな感じであまり褒めるところはなかったのですが、売上は5000万をこえているっぽくて予算はクリアしてそうです。これだけの在庫規模になると、やはり維持も大変で、そこらへんも意識したマネジメントや売場設計を最初から考えておかないといかんですね。オープン直後の今でこそ、個々の棚は比較的しっかりとしていますが、今後のことを考えると怪しい気もします。数ヵ月後には和歌山市役所の隣に同じく600坪で宮脇書店が出店を予定しているそうですし、その辺までが正念場でしょうか。もちろん宮井平安堂はさらに正念場でしょうが。
総合評価50点。提案性が無く、在庫が多いだけのあまり楽しくない本屋です。まずは小売店のレイアウトの基本を勉強し、迷路を解体するところから始めましょう!