書店用ブックオフ対策

というほど大げさなものではありませんが、目の前にブックオフに出店されたらびびってしまうのが人の子というものです。私も一度5メートルの道を挟んだお隣に出店されたときには、売上30%ダウンは覚悟しました。下手したら閉店だなぁと。実際町田のスーパーブックオフレベルの店だと間違いなくそうなってたでしょうが、出店してきたのは平均的な100坪ほどの店でした。その規模であれば、何とか戦えるチャンスもあるものなのです。結果的にその店は5%ダウンとなりましたが、今もかろうじて生き残っています。分析をおこなった結果、こういう対策が有効なのではないかと。

その1 勝てないジャンルは切り捨てよ!

新刊書店が新古書店に絶対に勝てないジャンルというのがあります。それが文庫です。そもそも文庫というのは単行本の廉価版という意味合いが強く、コンテンツとしては書き下ろしを除いてほとんどが過去に出回ったものです。ということは、新刊単行本時に購入せず、文庫落ちを待つ人たち、というか文庫を購入する人たちのニーズというのは、そもそも「廉価」という要素が非常に大きいと言えます。このジャンルでは、商品の鮮度があまり問われないことから、品揃えが豊富で値段も安いブックオフには100%勝てません。文庫は切り捨ててください。売場圧縮です。

その2 文芸書ロングセラーは切り捨てよ!

昨今の風潮と逆を述べているわけですが、文芸書なんか特にそうでして、新刊だけ売ればよろしいのです。1年もたてば半額でブックオフに並んでますから、勝てるわけがないのです。ブックオフ出店で一番ダメージを食らうのは、この文芸書と文庫ですね。つらいです。

その3 フェアとPOPに命をかけよ!

品揃えの量と価格で勝負できなければ、できるところは「質」だけですね。坂本社長はブックオフではMDを放棄したと言っています。書店にできるのは、このMD。これすら出来ない店はそもそも存在する意味がありません。新刊を中心としたMDに命をかけ、ここで差別化しましょう。ブックオフでは仕掛け販売などはできません。

その4 コミックの巻抜け厳禁!

ブックオフが出店して、ダメージを受けそうで受けないのがこのコミックです。意外ですが、売上は大して変わりません。というのもブックオフでは人気シリーズや最新刊は入手できないため、結局新刊書店で購入するんですね。おまけにブックオフには漫画好きが集まりますので、集客効果もあったりしてすぐそばにある自店の方にも影響して入店客数が増えたりします。おお、新刊コミックの売上があがるじゃないですか。あと、ブックオフのユーザーは、ブックオフでシリーズをまとめ買い→でも揃わない巻がある→揃わなかったやつだけ新刊書店で購入という行動パターンをとりますので、巻抜けは厳禁です。仕入能力についてはブックオフよりも上なんだ、ということをお客様にはっきりさせておくためにも、置いてあるタイトルの巻数は常に揃えておきましょう。ただし万引きには注意しましょう。

その5 雑誌の配本と学習参考書を増やそう!

これはブックオフによる集客効果で入店客数が増えた場合の話です。雑誌の売上が逆に上がってしまいます。ブックオフが取り扱っていない商材は、逆に売上があがるんですね。ビックリです。同様のジャンルに学習参考書というのがあります。これも中古の学習参考書というのが市場にあまり存在しない(書き込むから)ため、ニーズが新刊書店に集中するのです。ブックオフにも弱点はあるんですね。この売上増分でちょっとでも文庫と文芸書のマイナス分をカバーしましょう。

その6 ブックオフの苦手ジャンルはしっかり揃えましょう。

たとえば道路地図や旅行ガイド。これはブックオフでは売れません。だって古いから。予約したいレストランがなくなってるかもしれないし、新しくバイパス道路が開通しているかもしれませんからね。
ビジネス書。これもブックオフでは売れません。ビジネス書も内容がかなり時事に絡むので古いものは売れません。2003年経済大予測!なんて本が今売れるわけがないのです。
アイドルの写真集。発売日に売上最大瞬間風速を記録するようなものは、ブックオフの影響は受けません。攻略本もそうかな。
細木数子六星占術、これもです。英検問題集とか就職、資格試験関連の毎年年度版がでるものは、ブックオフの苦手ジャンルといえます。
こういう新しい情報がバリューになるジャンルは、たとえブックオフが隣に出来ても売上は変わらないのです。しっかりと棚は維持しましょう。あと不思議なのは料理などの婦人家庭系の実用書も大して影響をうけないんですよねー。実用書のコンテンツ自体は内容に大差ないのでちょと不思議な現象ではあります。おそらく奥様方は本のデザインのセンスやレイアウト構成、写真などが、年々進化してきているのを微妙に感じ取られて、古い本を無意識に敬遠されるのかな?とも思ったりもしていますが、本当のところはよくわかりません。その辺が分かれば、さらに有効な対策をうてるかもしれませんね。
ではこのへんで。