文藝賞二作。

人のセックスを笑うな

人のセックスを笑うな

短いのであっというまに読了。ヒロインのユリさんの人物造形が巧みで、恋愛小説は大嫌いなのに最後まで読んでしまいました。まぁよくもこんなに恋愛のことだけで会話が続くなぁと感心します。主人公とユリさんと旦那が飯食う場面は良かった。もし私がこういう体験をしたら平静ではいられないと思う。ユリさん以外の登場人物は、いまいちリアリティなし。評価C+
野ブタ。をプロデュース

野ブタ。をプロデュース

クドカンはリアルでこういうプロデュースやってたらしいですけど。かなり面白い。これはヒットです。芥川賞、惜しかったかも。
主人公の性格が著者の「地」なんじゃないかと思うぐらい独白でよく書けているのですが、それにしても最近こういううわべだけ相手にあわせた人間関係を維持していて、でも内心はつきあっている友達をバカにしてて、しかもそういうつきあいしかできない自分が嫌い、みたいな主人公が多すぎる気がします。流行ってるのでしょうか?「GOTH」しかり「対岸の彼女」しかり「戯言シリーズ」しかり「デスノート」しかり「蹴りたい背中」しかり(あ、これは違うか)。こういうのが売れて共感されてるってことは、つまりみんながみんな自分が特別だと思っていて、仮面かぶっていて、バカにし合っていて、というなんか意味のない化かしあいをしているような馬鹿な時代になってるってことなのでしょうか。そういう私も学生時代はそういう性格でした。自分をプロデュースすることで精一杯でしたけど。
まぁ、だからこそ「友へ、チング」に男どもはボロボロ泣き、私のように「自分に正直になろう」とか間違って思いこんだりして、嘘つくのをやめた結果、周りにだれも友達がいなくなるというさびしいことになったりするわけですな。
時代をよく映したよい作品であると思います。評価A−