マナハウス

chakichaki2005-02-11

この不景気の日本列島の中で、名古屋のみ景気がいいということで、トヨタをはじめ「名古屋に学べ」という名古屋ブームが起きていますが、書店の中で名古屋に学べ、を挙げるとすれば、やはり筆頭にあがるのは三洋堂書店とこのマナハウスでしょう。三洋堂はそのあまりにも面白い社内報つきのホームページ(http://www.sanyodo.co.jp/)で有名ですが、マナハウスはあまり知られていませんね。でもすごいんです。この店。
まず立地です。名古屋の栄にある旧山一證券のビルをまるごと改装して店にしてしまいました。このビルなんですが、丸善の目の前にあるので完璧に喧嘩売ってます。すごいんです。でも新宿のジュンクもそうだろう、という人もいると思いますが、それとはまるで次元の違う凄さだと言っておきましょう。何せマナハウスはこれが出店第一店舗目、ノウハウも何もなく本については素人集団が、いきなり丸善に喧嘩売ったってことですよ。
そうなのです。マナハウスは、ダイテックというソフト開発会社の社長さんが道楽で始めたような店なのでした。したがって、そこにはそもそもビジネスという観点が半分くらい欠落しています。とにかく派手好きの名古屋人。「今度本屋をやろうと思うみゃー。折角作るんなら丸善蹴散らして天下をとらにゃいかんだがね」と社長さんが言ったかどうかは知りませんが、多分そういうことなのでしょう。てゆーか絶対そうだ。
で、どんな店が出来たかというと、こんな店でした(http://www.manah.net/mall/guide.jsp?pid=0)。この店は社長さんの趣味でいつもプチ改装をしていて3ヶ月先にこの形態になっているかどうかの保証はありませんが、2005年2月現在は、1F〜4Fのフロアに東海圏最大規模の書店がありCD・DVD販売もやっています。これは普通。しかし1Fに何故か寿司屋も同居しています。謎です。社長さんの好物なのでしょうか。5Fにカフェがあります。でも前は2Fだった気がするので転々としているのかも。6F7Fに熱帯植物ガーデン(何故!?)があります。そうかマナハウスのロゴはこれだったのか。6Fにはレストランにダーツバーもありますが、社長のお気に召さないのか改装中になっています。そして極めつけは、地下にブルーノート名古屋があることでしょう。社長ジャズ好き。なんだかすごく楽しげな店です。面白いですねー。証券会社のビルを無理やり商業施設に使っているせいで、売場の中になだらかな坂道がある(階段ではない)というのも、あまりにも新鮮です。まぁ、売場レベルは正直「?」な面も多々あるのですが、それでも楽しいですわ。この店。
しかしこれではさすがに学ぼうにも学べないですね。どこを学べばいいのでしょうか。実はマナハウスが凄いのはシステムです。何せ親会社はソフト開発会社。取次のシステムが気に入らなければ、全部自分で作ってしまいます。コレがどれだけ凄いことか。ではその凄さの一端を。
何でもいいので、先ほどのホームページ上で本の検索をしてみましょう。すごい反応スピードで書名一覧がでましたね。この時点で在庫の有無がわかります。「有」になってるタイトルをクリックして詳細画面を見てみましょう。本の表紙画像DATAが出て、在庫冊数までわかるはずです。ちなみにこの冊数は現時点のリアル在庫です。誰かが1分後買うと変動します。在庫状況の隣には棚番号というのがありますね。何階のどの棚に置いているのか表示されています。さらに「棚位置表示」をクリックしてみましょう。はい、店のレイアウト図と棚位置が表示されました。これ社内LANじゃなくてインターネット上ですよ。しかもおそるべき超高速レスポンスです。
つまり、マナハウスは日本で最先端の書店の管理システムをたった数年で作り上げてしまったわけです。表紙の画像DATAは、全部自店で入荷したものをスキャニングしてDATA化しています。マスタも同様です。これはメトロより凄いですよ。おそるべし名古屋人。おそるべし利益度外視。
でも昨年の決算報告を見ると、営業利益でマイナス170万でも経常では400万プラス。在庫4.8億で年商18.5億は在庫回転率3.8です。社長の道楽と言えど決して放漫経営なわけではないのですね。コスト抑制型とは正反対な経営なのに、この数字。これは学ばねばならないでしょう。総合評価80点。システムは200点。