巨大書店に大量の送品を改革せよ
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うーん、気持ちは分かるのですが、ちょと違うかな。返品率実績を調査すると、巨大書店の返品率が一番低く、二番目が小さな書店、一番返品率が高くて効率が悪いのが150坪規模の中型書店、という結果なのだそうです。小型書店には、そもそも配本自体が無いから論外にするとして、やはり風上側としては返品「数」ではなく返品「率」を重視するので、配本が巨大書店偏重になってしまうのはやむを得ません。中型書店に山のような配本がいっても山のような返品が出るだけです。と、私まるでどこかの取次さんみたいなこと言ってますが、これでも書店の人間です。
書店業界では「配本もないのにどうやって売上あげるねん!配本がないから売上もあがらないんだろうが!」みたいな鶏と卵な論争がよく起こるのですが、誤解を恐れずに言うと、売上をあげるスキルのある店は、配本条件が多少悪くとも売上をあげられます。売上があがらないことを配本のせいにする書店は、私から言わせれば、努力とスキルが足りません。もちろん、この方はそうしたこともご承知の上で問題提起をされているのだと思いますが、こういうことを言うのも、実際に小中規模店に試験的に商品を投入してみたことがあるからなのです。実は私もそういうふうに思っていたので、配本を一度増やしてもらったのでした。しかし半年ぐらい続けたのですが結果は返品が大量に発生するだけ、という惨憺たる有様でした。配本が増えれば売上があがる、というこのロジックが通用するのは、実はほんのごく一部の商品タイトルだけの話なんですね。でも結構書店店頭ではその本の問い合わせが殺到するので、書店員のマインドシェアがどうしても高くなってしまい、「新刊さえ入荷すれば売上はあがるのに」という一種の錯覚(誤解)を生み出してしまうというわけ。
しかし、そのような入荷の難しいベストセラー系の新刊の店舗の売上に占めるシェアを計算してみると、実は3%未満にしかならないことに気づくはずです。へたしたら2%も無いかもしれません。え!?たった2%?そうなんです、入手しづらいベストセラーの確保に一生懸命になったところで、所詮売上は2〜3%程度しか変わりません。そんな小さな数字に異常にこだわるより、残りの98%に力を注ぐべきだったのです。98%に力を注いだ書店は、売上のボトムアップがはかられ、勝手に今まで入荷しづらかった新刊ベストセラー系まで入手しやすくなってしまいます。
「書店が新刊の入荷にこだわればこだわるほど、新刊の入荷は増えない」というこの不思議な逆説。
反論もあるでしょうが、私が書店員生活8年間で学んだことの一つです。