邪馬台国はどこですか? (創元推理文庫)

邪馬台国はどこですか? (創元推理文庫)

この本、バカバカしい本だという先入観があって読んでなかったのですが、よく出来てるじゃないですか!たしかにバカバカしいのだけど、教科書の定説を覆す、それこそが大学でやる史学ですからこれで論文を本当に書けるのであれば、立派な学説です。で、これがその学説。
1 仏陀は悟りなど開いていない。
2 邪馬台国の場所は岩手県
3 聖徳太子蘇我馬子推古天皇は同一人物。
4 本能寺の変は信長の自殺だった。光秀は自殺幇助。
5 明治維新は、勝海舟が志士たちに催眠術をかけることによっておこした。
6 イエスの復活は、十二使途が共謀して計画したやらせだった。
いやぁ、面白いですよ。特に聖徳太子のやつは、かなり。江戸時代前は、記紀だけでなく「旧事記」という歴史書も正史として扱われていたのですが、それが平安時代に成立した偽書ということが今では判明していて、歴史の捏造というのがわれわれが想像しているより簡単かつ頻繁に行われうるということがわかっています。だから日本書紀の記述が作為的なのであれば、本当に3はあり得るんだよなー。あとイエスのやつもありえそう。他はちょっと嘘くさすぎましたけど。5が本当なら、勝海舟ラスプーチンだよ。
それにしても、歴史ミステリーを書ける人はすごい!読むのは大好きですが、書くのは膨大な資料を読み込んだ上で、さらに通説とは異なったロジックを組み立てていくわけですから、大変ですし、そもそもこういう説を思いつけるのがすごいですね。私にはこんな才能はないです。
星野之宣の「宗像教授伝奇考」は、それをマンガでやっちゃったという傑作ですが、高田崇史のQEDシリーズといい、高橋克彦といい、井沢元彦といい、こういうのって、本当に学会では無視されちゃうんでしょうか。なんかもったいないなぁ。評価B+