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ヨーロッパ退屈日記 (新潮文庫)

ヨーロッパ退屈日記 (新潮文庫)

やたらに面白いのです。まだ二十代の伊丹十三が、六十年代のヨーロッパを舞台に自在に英語をあやつりながら本物のダンディズムを語る、という本。六十年代のダメダメだったころと比べると、現在の日本とヨーロッパの差って、大して変わらなくなりましたが、当時はやはりヨーロッパとの文化格差が圧倒的だった時代です。今から読めば滑稽に思えてしまう価値観もなきにしもあらずなのですが、どんな些細なことにも哲学をもって振るまうという伊丹十三の「男の価値観」は、いいね。最高。
ですが、山口瞳の解説「私は、この本が中学生・高校生に読まれることを希望する。汚れてしまった大人たちではもう遅いのである」には苦笑。あはは、私はもう手遅れでしたか。
しょうがないので残りの人生はちょとグルメに生きようかなと思ってみたりしました。吉野家の牛丼復活に並んでるようではミドル・クラスなわけですよ。悪かったな!(笑)評価B+