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誤読日記

誤読日記

バカな本にはバカとハッキリ言ってのける斎藤美奈子の新刊です。AERAの連載ということもあるんでしょうが、昔ほどの破壊力は無いですね。でも面白い。もし斎藤美奈子を読んだことのない方がいたら、ぜひぜひぜひぜひ読んでいただきたいのですが、笑える書評を書かせたら天下一品です。ただ、時々この斎藤美奈子読んで単純に笑っている自分を許せなくなるときがあるのも確か。この本読んでいい気になってねーか?と時々反省。だから、いつも爆笑した後に後味悪いんです、この方の本は。評価B+
鉄子の旅 (4) (IKKI COMIX)

鉄子の旅 (4) (IKKI COMIX)

小学館の方によると「鉄子の旅」ひそかに売れてるようです。必ず在庫してください、だって。ちょと嬉しい。今回は横見さんの全駅下車達成特集。いやぁすごいです。尊敬します。私には絶対出来ないし、やりたくもない。それにしてもキクチさんが段々鉄ヲタ化してきてるのが傍目から見ていて非常に面白い。リアル旅てつ友の会ですね。こりゃ。評価B+
「超」怖い話Ζ(ゼータ) (竹書房文庫)

「超」怖い話Ζ(ゼータ) (竹書房文庫)

新耳袋なき今、期待できる怪談シリーズはこの竹書房のシリーズだけとなってしまいました。今回も個性的かつ恐ろしい怪談のオンパレードで、クオリティとしては後期新耳袋を凌駕するシリーズとなっております。特に「方法とその効果について」という話は強烈。評価B+
風雲児たち (幕末編7) (SPコミックス)

風雲児たち (幕末編7) (SPコミックス)

今回はプチャーチン日露和親条約の話がメイン。ディアナ号沈没の話も出てきます。ロシアとの領土問題で83年ぶりにベニョヴスキーが登場したのには驚きました。あんなめちゃくちゃな人物の行動が後の北方領土問題に発展するなんて、歴史は本当にわからないものです。今回学んだこと。①プチャーチンと川路の北方領土交渉(ベニョヴスキーが登場すること・最上徳内の功績)②ロシア船に密航した日本人の話③安政東海地震④ディアナ号沈没⑤プチャーチン高田屋嘉兵衛を探していたことなど。評価A−
新ゴーマニズム宣言SPECIAL靖國論

新ゴーマニズム宣言SPECIAL靖國論

なんだか風雲児たちのような素晴らしい歴史マンガを読んだ後だと、本当にレベルが低くて悲しくなってしまうのですが、靖国論。予想通りのダメでした。典型的に客観視できてないパターンの言説でして、そりゃアンタたたかれるのも無理ないわ、と同情の余地なし。靖国問題を正確に勉強したい方は、客観的な論考ができている、ちくま新書の「靖国問題」を迷わず推薦します。
ただ、この「靖国論」すごいな、と思ったのは論旨の破綻が思ったほど多くないこと。やはり小林よしのり、頭は悪くないです。間違ってるだけで。「戦争は外交の一手段である」「民主主義は嫌いだ」「霊魂を信じるのは宗教行為である」というのが小林よしのりの主張なので、その論旨で行けば、確かに戦没者顕彰施設である靖国を否定するのはもってのほかとなるし、政教分離なんぞそもそも最初から不可能だ、ということになるので筋は通ってますね、論がかみ合ってないだけで。
ただ、靖国が日本人古来の信仰だ、と断言するのはやめてくれないか。私は日本人だが、そんな低次元な信仰形態をもって伝統であるとか主張して日本人を貶めるのはやめてほしいと考える。大体、江戸期以降の国学によって人工的に変質させられた神社は不自然。明治以前に民間で本当に伝統的であったと言える神仏習合を破壊して構築している神社の中でも、さらに靖国は特殊ですからね。私は日本人なら靖国に参拝すべきだと思っている人の一人ですが、お寺や神社におまいりするのとは、やっぱ全然違う感覚なので、あれを日本人伝統のーとか言われるとなぁ。評価C+