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下流社会 新たな階層集団の出現 (光文社新書)

下流社会 新たな階層集団の出現 (光文社新書)

かつて高度成長期に総中流化社会だった日本が、最近一部の上流階層と下流階層に分離しつつあるという話はよく聞く話です。本書は「自分をどの階層だと思うか?」という質問を多くの人に投げかけ、上流と答えた人と中流下流と答えた人の特徴を統計的に分析したものなのですが、いやはや衝撃的(笑撃的?)な内容です。例えば、上流の人がよく見るテレビはNHKですが、下流の人はフジテレビ。上流はスタバが好きで下流が好きな店はマクドナルド、なんていうデータが統計的に出てしまっています。このような統計処理を様々なライフスタイル別に分析すると、「こういうことをやっていて、こういう考え方の人は上流」「その逆は下流」みたいなのが、かなり明確に出てしまうのですね。おそろしい。
本書の魅力は、上下流の特徴をあげるだけでなく、そうした階層の出現要因とライフスタイルの変遷について、世代間のGapと居住地域のGapをあげていることでしょう。例えば、団塊の世代では野球観戦を趣味にしている人は上流に多いのに対し、団塊Jrでは下流が多く、価値観が逆転している。また、昔は長時間働く人(労働者)ほど下流だったが、今はまったく逆で、上流の人ほど長時間働いている。
居住地域のGapは、居住する地域や活動する地域である程度の階層が決まってしまうというもの。著者曰く、東京西部の東急・京王・小田急沿線は上流で東武西武千葉埼玉は下流になる地域である、二子玉川日本橋(もちろん東京の)には上流が集まってくるが、渋谷のセンター街は最下層が集まってくるという話。そして同じ階層同士が結婚するので、ますます階層分化が促進されるというもの。うわー、言っちゃいましたね。誰もがうすうす感じていながら事実であるが故に、シャレにならない差別的発言なのですが、統計的に出てるデータだと言われれば、反論しようもありません。
ただ、私も出店を担当するときは、地域のマーケットや民力を計測するわけですが、本当に地域間の格差はかなり激しいのです。ぶっちゃけ下流地域では売上悪いし。ビジネスユースとしては、今後商売をする上で「誰に何を?」が今のアメリカのように二極化するということを前提においてコンセプトを組みたてないといけないということですね。言うならば金持ち用の商売なのか、貧乏人用の商売なのか。勉強になりました。
あ、私ですか?本書の冒頭に「あなたの下流度チェック」というのがあるのですが、12項目中10項目あてはまりましたが、それが何か?評価B+