フタバ図書GIGA椎名町店

chakichaki2005-11-12

広島のフタバ図書が二十何年かぶりに出店したということで話題になっているお店です。しかもかつて私が本屋ミシュランで最高点をつけたMEGAのスタッフが東京出店スタッフであるということで本気モードであることが推測されます。どんな店が出来たのか見に行くことにしました。
で、椎名町なんですが、西武池袋線のターミナル池袋の一つ手前の駅なのであります。なんでまたこんなところに大事な東京進出の出店ポイントを選んだのかはよくわかりません。何年かぶりに豊島園行きの黄色い普通電車に揺られて椎名町駅で降ります。フタバはこの椎名町駅の南口側の駅前にあるのですが、この南口側というのが全然人気がないところで駅を降りても何もありません。おまけに線路沿いにいったん歩いた後、ビルをまわりこむようにして次の路地からでないと入口にたどりつけないような構造になっています。つまり駅前のビルなのに駅に対して背を向けて立っているという商業ビルとしてはあるまじき立地なわけですね。フタバが出店する前にはツタヤ椎名町店があったのですが、そこが撤退した跡に入居したという、ちょと「?」な物件なのであります。
さてこの店は地上2階地下1階の三層構造になっています。地下はレンタル、1階に書店とCD・DVD、2階に中古本とゲームです。そう、フタバ図書は同じ建物の中で中古本と新刊本を扱うことがあるんですね。広島駅前のフタバGIGAもそのような構造になっていますが、どうもこれが出版社には不評のようです。「フタバさんは中古も一緒にやってるからねー」と露骨に嫌そうな顔をする版元営業、実際に某一ツ橋系大手出版社さんなどは配本ランクを下げたりと露骨な嫌がらせをしているらしいです。心せまいなー。
まずは入ってみましょう。1Fの書店部分ですが、うーん、普通です。というかむしろダメなのでは?という売場。入口から新刊イベント台があり、まっすぐ壁面通路に沿って雑誌什器で奥まで引き込もうという動線計画はセオリー通りだといえます。しかし、什器高がすべて2000に統一されているのはどういうわけなのでしょう?中央の雑誌島什器も壁面の書籍什器も、すべて高さが2000なのです。これは相当変。雑誌什器は2000という高さを使い切れずに茶色のスチール面を壁のように露出していて、非常に不恰好ですし、壁面の2000は棚の高さが足らずに在庫が貧弱に見えます。おまけに壁面の上部は処理がされていなくて壁が剥き出しな上に監視カメラがやたらに目立っていていい印象をうけません。いやー2000って帯に短し襷に長しなんじゃないんですかぁ?
もう一つ、この店では私には許しがたい陳列がありましたので記しておきましょう。わたしが「フタバ式」と呼んでいて「絶対にこの陳列方法の真似をしてはいけません」と部下に教えている陳列方法なのですが、それは入口からの棚の並ぶ方向によって本の配列順を変えるという陳列。どういうことかというとですね、普通、本を陳列する際は左上からスタートして右下がゴールになるように陳列しますよね。それが、フタバでは逆になるケースがあるのです。ものすごくわかりやすい事例写真がありますので見ていただきましょう。

はい。ドラゴンボールが右から左に並んでいますね。1枚の長い絵になるはずのドラゴンボールの背表紙がずたずたに引き裂かれて鳥山明が泣いて悲しむことでしょう。なぜこうなっちゃうかと言うと、フタバではお客様の動線と棚の流れを一致させなければならない、という観念が強すぎるため、この棚で言うと「入口はこの棚の右側のほうにある」⇒「だからお客様は右側からやってくる」⇒「棚の先頭に「わ」行とか来るのはおかしい。先頭をあわせるべきだ」⇒「右上から並べるのが良い」という誤った結論に陥ってしまったのですね。んなわけねーだろ。いっぺん動線調査とってみろ、入口側からくるお客様てのは半分しかいねーんだよ。人間の心理工学に逆らった売場つくってどうするんだ?あぁん? と私が店長なら会社の方針に絶対逆らうでありましょう。
さて買い物をしてみると別にいらなかったのですが強制的にポイントカードが発行されました。ポイントは100円毎に1ポイントで600ポイントで1000円分の商品券になるとのこと。ってことは還元率は約1.7%と高めですね。複合だからこそのなせるワザでしょう。
実際、この店のB1と2Fのレベルはそれなりによかったのです。とは言え、都心最大級の未来型複合書店というのは大げさすぎでしょう。このレベルの店ならそこらへんにゴロゴロしていますから。フタバ図書としてもこの店はあくまで「足がかり」で、実際はもっといい物件をねらっているのに違いありません。だってこの店売上悪そうだし…。そうそう、駐車場4台と書いてありますが、実際は自転車に占領されて駐車することはできませんからー。残念!総合評価60点