東京タワー ~オカンとボクと、時々、オトン~

東京タワー ~オカンとボクと、時々、オトン~

ベストセラー小説を、あまり読まない。「泣ける」とか書いてあったらなおのこと読まない。今年の春先に扶桑社の方がやってきて「今年度のベストワンです。仕掛け販売しませんか」と言ってこられたときも、まだ春なのにもう今年のベストワンかよ扶桑社、そんなことで大丈夫なのかぁ、とか言いながら「じゃあやってみますか」みたいなノリだった。
発売直後からものすごく、売れた。話題にもなっているようだ。それでも読まなかった。リリーフランキーの親子モノと聞いて、なんだかチャラチャラと軽い感じを想像し、私には合わないなと思っていたのだ。
だから、先日お会いした、五木寛之丸山健二が好きと語る渋めの四十代男性の方までが、最近読んだ本の中で一番素晴らしかったのは「東京タワー、しかも抜群によかった」と語ったのには驚いた。そんなにすばらしいのか?
早速その日に購入した。リリーフランキーって、名前もそうだけど変化球しか投げてこないピッチャーだろうと思っていたのが、投げられてきたのは、ど真ん中の重いストレート。しかも剛速球だった。圧倒されてしまった。そしてご多分に漏れず鼻水たらして私も泣いた。
これが不朽の名作であることは間違いないだろう。そして読んだら、ちょっとへこむ。親不孝なものほどへこむ。私は相当へこんだ。この思い、ひきずって明日も生きる。評価A+