今年は伊坂か東野で決まりでしょう。最近の読書、小説系。
おすすめいただいたので読んでみました。んー、独特の文章です。無国籍な香りが漂う舞台背景や個性的な登場人物たちの表情が目に浮かぶような語り口調でいつのまにか引き込まれます。世界観は「ティモレオン」と
田口ランディが入り交ざったような感じ。私は登場人物に
岡崎京子の絵をあてて読んでいました。実写にしたら
ウォン・カーウァイ作品で
クリストファー・ドイルが撮影しているっぽい小説です。すみません訳のわかんない説明で。この固有名詞を融合してこの本の世界を正確に想像できたらすごいと思います。で、どうだったかといいますと、なかなか良かったと思うのでありました。でも作品に仕掛けがあるって言われてもよくわかんなかったなぁ…。評価B
鶴田謙二のカバー絵のために購入しているような気もしないでもないのですが、
スカイクロラシリーズの第3弾です。前作と違って今作は変化球も何も無く直球勝負でした。空中戦の描写で本当に戦っているような臨場感をかもし出す不思議な文章力は健在で、
森博嗣さすが!と唸ってしまいます。このシリーズはいつまで続くのでしょうか?こういう直球勝負は市場的にはあまり求められていないような気がします。評価B
3分であなたを異界にいざなう傑作選!と帯にあるように1話たった3分の実録怪談。
カップ麺とご一緒に購入されるのはいかがでしょうか。
竹書房の「超怖い話」シリーズは私の大のお気に入りシリーズですが、これは恐怖度は抑え目。初心者向けです。評価C+
第6回
日本ファンタジーノベル大賞受賞作。炎天下に延々と鉄塔を辿るというそれだけの「鉄塔小説」なのですが、いやはや何と言うか、私も昔同じようなことをしてただけに、なんとも言えない感慨深い作品です。私の場合は山の中の送電線を辿るということをやっていたので、次の鉄塔にたどり着くのには尾根つたいに谷をおりてまた山を登らないといけないという、作中の主人公よりもっと大変な思いをしたのですが、野宿してまで鉄塔めぐりをする根性はさすがにありませんでした。作者の異常なまでの鉄塔愛に裏打ちされた鉄塔ウンチクには、驚きを通り越してあきれるほどで、この一冊を読むだけで人生のうち鉄塔のことについて知る99%の知識を得られること間違いありません。鉄塔を巡るだけの話なのである意味おそろしく退屈な小説でもあるわけですが、この無駄に時間が流れる感覚こそが、あの少年時代の夏の日の
追体験そのものなんだという、稀有な小説ですね。評価B