家賃比率

「うちが狙ってる物件があるんだけど、そこ紀伊国屋さんも狙ってるらしいんだよねー。紀伊国屋さんがどれぐらい出してくるか、調べてくれない?」
というまた無茶な指令が…。そんなのわかるわけないっす。それは開発営業の人の仕事でしょう?と思ったのですが、気を取り直して調べてみることに。今まで私は店舗の売場の作りこみとか、品揃えのMDとか、運営システムの構築とか、什器の設計とか、そういう内部のことばかりやってきてたのですが、そういった経営に必要な法令だったり資金繰りだったりといったことは、やってなかったなぁと反省。ブックオフの坂本社長が、新刊書店の店長は使えないやつらばっかり!と言い切るのは、やはりそうした知識が不足している人が多いからなのかもしれません。例えば経常利益予算が達成していない店があったとして、売上をあげる施策や販促を打ち、人件費や消耗品費削減まではやる店長は多いだろうと思いますが、さすがに家賃交渉までやってしまう店長はあまりいないんじゃないでしょうか。
全国の書店経営指標によると家賃比率は書店の売上100に対して平均4.2だそうです。これは人件費についで高い勘定科目。紀伊国屋さんの場合「うちは6%以上では契約しない」と閣下が公言しているそうです。つまりその物件の紀伊国屋さんの売上予測を出せば、×6%で出してくる条件が予想できるというわけですな。それなら予想できそうです。しかし、そんな私の適当な計算で入札に負けてしまったら申し訳ないので、一応裏を取ってみることにしました。
「あー、もしもし、紀伊国屋さんが出してきそうな家賃を予想しないといけなくなったんですよ。6%って聞いたんですけど、ほんとですか?」
「えっとねー、いろいろやり方があるんだよ。歩合でもね、どうしても欲しい物件だったら10%から15%出すときもあるよ」
「え?10%!?それじゃ儲けが出ないじゃないですか?」
「こういうのはね、とったもん勝ちなんだよ。はじめに高い率を提示しといて、とってから家賃交渉で下げてしまうわけ。ほとんどいつもこのパターンだよ」
「ってことは6%ってのは」
「結果的にはそうなるのかもしれないけど、ポーズだろうね。6%で提示してくるとは限らないよ。」
「はぁ…そうなんですか」
振り出しに戻る。すみません、やっぱ私には無理っす。