嫌オタク流

嫌オタク流

オタク批判本…にするつもりだったのでしょう、最初は。「電車男」だの「電波男」だのとオタク礼賛が目立つ昨今の間違った風潮について、中原昌也高橋ヨシキの二人がメッタ斬りにする、というノリで鼎談が始まるのですが、中原昌也高橋ヨシキもあまりにもオタクのことを知らず、全然会話が成立していないというダメ度が高い本です。特に中原昌也はあきれるほど常識を知らない上に、会話を成立させようとする意志すらないので、ものすごくダメ人間に見えてしまいます。演出上わざとなのかもしれませんが、これ読んだ人の中原昌也に対する好感度はものすごく下がるんだろうなぁ。
オタクについて何も知らないのにただ嫌悪している二人は、オタクについてオタクに教わりながら「それがダメなんだよ」とか息巻くわけなんですが、読んでる側からすると結構あんたらも同じ穴のムジナだと思うぞ、というレベルの低い議論が続きます。
海猫沢めろんが講師役をつとめた前半では、彼がかわいそうになるくらい話が通じてなくて、ほんとに会話がかみ合ってなかったのですが、更科修一郎が講師役となった後半は、オタクに対する鋭い視点と独自の分析でもって二人は圧倒されてました。私も更科氏の主張には全面的に共感&納得。「電波男」の本田氏に対する意見も私とまったく同じですしね。更科氏は「オタクは10歳児」。「萌え」は「10歳児のためのポルノ」という主張をされているのですが、うまく言いえて妙だな、と感心。確かにその通りだと思います。なぜなら自分がそうだからね(笑)。などと言ってしまうオタクは傍流なんだそうで、私は傍流だったのかと、その事実には結構びっくり。
この本によるとオタクのメインストリームになっている層は、幼稚な上に万能願望をもっていて、画一化した閉じた文化の中で生きており、国に踊らされていて非常に悲惨なのですが
本当にこんなに悲惨な状態になってることに気づいていないアホなオタクはどれぐらいいるんでしょうね。こういうオタク像もマスコミの作り出した虚像のような気もしますが、新卒の採用面接とかやっていると、時々ほんとにこんな感じの人がいてちょと笑えない。
結論。この本の出来はひどいけど、だからと言ってオタクも相当ひどいぞ、と。評価C+