新刊と古書の併売モデル
ようやくですが、新刊本と古書の併売モデルが生まれつつあります。平安堂の今泉店長と言えば、業界では知らない人がいない、というぐらいのカリスマ。その超有名人の今泉店長が、やっているということで、業界ではとても大きな話題になると思いますし、また新潮流として定着する可能性も高いのではないかと期待しています。以下は文化通信の記事。
■ 平安堂、他書店と共同で古書併売ビジネス 更新日: 2006/03/16
収益向上と顧客サービス目指す
平安堂は古書の併売を行うために複数書店で新会社を設立し、物流、価格データベース、著作権者との関係作りなどを行う構想を進めている。新刊書店が古書を取り込むことで顧客サービスと収益性の向上を目指す。
同社・平野稔会長はこの構想を勝木書店、田村書店、三省堂書店などとともに組織するIDIに呼びかけ、IDIを中心にした書店25〜30法人が共同出資する新会社設立を目指している。これに先行して、昨年から長野店で催事として古書の販売をスタート、今年5月の連休明けには諏訪店で本格的な古書買取・販売を開始する。
共同出資会社は各店舗で買取った古書の余剰分を在庫し、店舗が必要な商品を仕入れる仕組みを作るとともに、インターネット上で全国の古書店の販売価格を調べる検索ソフトの開発などを行う。
在庫管理や物流業務を行う商品管理・物流センターについては現在、複数の取次会社に協力を呼びかけており、各店への仕入・卸売・配送業務、データベースの作成運用などの業務と余剰在庫を古書店、マーケットプレイス、大学生協、複合カフェなどに販売することも想定している。
参加書店は統一ロゴ・看板を使用し、新刊とは区分した30坪程度の古書コーナーを設置。万引などを防ぐために買取コーナーを店舗から分離したり、セキュリティーシステムを備える。また、買取専用のPOSシステムを導入して独自バーコードを古書に貼ることで単品管理を実施。会員システムで顧客の購入履歴を蓄積してマーケティングに活かすことも予定している。
対象商品には当面、雑誌、コミックス、時事性・流行性が高いもの、専門書、辞・事典、全集、教科書、参考書、洋書などは含めず、2年以内に刊行されたものの買取に重点を置き、ノウハウを蓄積するなかで買取分野を拡大していく。買取基準は検索ソフトによる古書価格データベースを作成するが、それまでは刊行からの年月などで判断できる基準を設ける。
新刊書店の古書併売には一部の著作者や出版社が懸念を示しているが、「著作権上、無法状態の流通に健全なビジネスモデルで対抗していく」としており、NPO日本文芸著作権センターなどと協議して、権利者や出版社の理解が得られる方法を検討する。
「本探している読者多い」長野店・今泉店長
長野店では昨年から、催事として古書や中古CD・LPの販売を、文芸書、専門書のそれぞれ棚1本半とCDコーナーで行っている。東京の古書業者の商品を委託方式で販売しており、今泉正光店長は「12月にドストエフスキーの研究書を50冊ほど入れてみたが完売した。価格だけではなく、評価が定まっているのに品切れ状態の本を探している読者は多いことを実感する」と述べている。
今泉店長はかつてリブロ池袋店で店長を務めていたが、当時から古書フェアを手掛けており、今回も当時からつき合いのある信頼できる業者から商品を調達している。手書きのスリップを入れて売れ筋分析などを行い、業者と一体となりながら進めているという。