つっこみ力 (ちくま新書 645)

つっこみ力 (ちくま新書 645)

いつもの統計漫談は今回は少なくて、どちらかというと主義主張本。世の中を「正しく」するのではなく「面白く」することが大切!とパオロ・マッツァリーノは言うのですが、まさにそのとおり!だと思いました。
美しい国」にしようとのたまう某国の首相の発想の源も、おそらくは世の中を「正しいあり方」にしようという考え方に始まっているのですが、その思考法では永久に「正しい」世の中にたどり着けない。民主主義国家とは、正しい国家なのではなく、面白い国家なのだというのは名言ですね。
国家だけじゃなくても、この思考法に陥っていると大変で、たとえばうちの会社なんかも、間違ったことをやめて正しいことをしましょう、みたいな発想でマニュアルとか整備したり研修をやったり縛りを多くしたりとかしてるんですけど、やはりこれじゃ真面目すぎて堅苦しくなってしまって、仕事が全然楽しくなくなりますわ。逆にこれからは、間違ってもいいから面白いことをしましょう、みたいな会社に変えていかないとなーと、すごく反省しました。
なんか、自己啓発本を読んだみたいな感想になってますね。そんな本では全然ないんですけど。いつもの反社会学的なものを期待してると、ちょと肩透かしをくらいますが、彼がおそらくかなりテキトーに書いたのであろう第一章に、個人的に意外なほど感銘を受けてしまい、自分でも驚いてしまいました。