編集者という病い

編集者という病い

先週久々に休日を一日使って書店めぐりをしたのですが、改めて書店員の仕事は出版編集者の仕事と似ているんだよな、ということを再認識させてくれるいい書店と出会えました。見城徹という幻冬舎の社長にはあまり興味はなかったのですが、最高の書店員は最高の編集者たれ、と思い、参考になるかと思って彼の自伝的な本を読んでみることにしたのでした。
甘かった…。私の考えていた編集者のレベルじゃなかった。命削って仕事しないとダメ、というか、一流の人は人生という限られた時間内においてどういう「仕事」をしたいかを常に考えている。仕事はただの仕事じゃなくてそれは生きている証なのだ。ゆえに常に本気。ゆえに常に全力。
思い返してみれば、私は今まで本気で仕事をしてきたことがあっただろうか。99%は、軽く流してこなしてきただけのような気がする。逆に言うと、99%も本気になれないような仕事って、私の人生にとってどれだけの意味があるのだろうか?
本屋になって10年たつけど、やっぱり私がやりたい本当のことは本屋じゃないように最近よく思う。でも本気で文学をやろうという気もおこらないし、感動もしない。私は今迷っている。いや、これまでも迷ってきていたのだけれど自分に嘘をついて今まで生きてきた気がする。その逡巡には答えはないのだけれど。
見城氏曰く、売れるコンテンツは4つの条件を備えている。その4つの必要条件を満たすと、必ずヒットするというのだ。その4つとは、①オリジナリティがあること。②明解であること。③極端であること。④癒着があること。コンテンツを生み出すのが人間であるのならば、人間もこれと同じことが言えるんじゃないだろうか。私は数年前「人生、極端であること」をテーマに日々無茶苦茶なことをやっていましたが、最近それをさぼるようになりました。結果、①も失い②も失ったんじゃないだろうか。④にいたっては構築すらできていない。なんか、そんなことを考えてしまいました。ある人にとっては当たり前のことなんでしょうが、面白みのない人生を送っている私のような者には、ちょっと心にグサグサ刺さる本です。