ケータイ小説のセールスポイント?

結局二次投票をせずに棄権しました本屋大賞ですが、集計が終わり、大賞が決定したという速報がはいってきました。受賞作は、あれです。あれ。版元さんでは早速帯の準備をはじめているそうです。本屋大賞おめでとうございます。

クリアネス―限りなく透明な恋の物語

クリアネス―限りなく透明な恋の物語

老舗出版社パンダ舎の鞠小路まりさんが、ブログ「パンダのため息」(http://pantame.blog61.fc2.com/)でしきりに最近のケータイ小説についてぼやいておられます。そこには、あんなクソ本がどうして売れる?的な心理的背景が見え隠れするのですが、まぁ多分、あれはこれまでの小説とはカテゴリーが違う別物なんでしょう、きっと。
コミックが最初に世の中に出現したとき、多分当時の書店の多くが「バカみたいに売れるが、こんなものは本じゃねえ!」とか何とか言っていたのではないかと想像するのですが、結構今のケータイ小説の立ち位置ってそれに近い感覚なのではないかと。
カテゴリーが違うわけですから、今の文藝編集者が対応できないのは当然で、ケータイ小説世界の価値観のわかる編集者を養成しないと、この市場には乗り込めないのではないかと思います。と、言うのも、ケータイ小説のよしあしがこれまでの文藝小説の価値観から見ただけだとよくわからないからでして、このケータイ小説は売れるけどこれは売れない、という判断すらも結構難しいわけです。本来そのあたりの目利きができないと困るはずの書店からもそうした意見があまり出てこないのは、単純に刷り部数と配本がとても多く初速がとても速いおかげで、目利きせずとも販売データを見るだけで「モノ」としての販売力を評価できるということと、あとは書店員がそもそも本気で売ろうとしてないというのがあるのだろうと思います。
実際この「ケータイ小説大賞」を受賞した「クリアネス」なんですけど、売れるのかと思いきや「赤い糸」に比べると全然動きが悪く、なぜ売れないのかが私にはわからないわけです。実はこの「ケータイ小説大賞」の選考には私も参加させていただいており、候補作は一通り目を通したんですが、唯一まともに最後まで読めたのがこの「クリアネス」だけだっただけに、困惑してしまいますねぇ…。価値観が違うのでしょうね、きっと。
ちなみにこの「クリアネス」、主人公がホストである二番目の彼氏をレオと勝手に名前をつけて呼ぶのですが、その理由が、ウルトラマンレオの歌をたまたま彼が歌っていたから、というあまりにも素敵な理由だったので、私はそこだけが気に入ってしまい、思わず大賞に推薦してしまったという、宇宙にきらめくエメラルド♪のような作品なのでした。評価C+