マンガ嫌日流―アジアの妄想家日本に告ぐ! (晋遊舎ムック)

マンガ嫌日流―アジアの妄想家日本に告ぐ! (晋遊舎ムック)

マンガ嫌韓流に対抗して韓国で描かれた本。著者の意見が韓国人の意見を代表しているのかどうかかなり怪しい気もするが、なぜ韓国人が日本人を嫌うのか、を説明してくれているので興味深く読む。
最近右傾化がはげしい日本に対して、著者は異常なまでに「軍国主義国家の復活」と警戒している。われわれ平成の日本人は、かつてのように日本の軍隊がアジアの国々に対して侵略戦争を再現することなど、これっぽっちも考えていないし、あり得ないことだという認識だが、著者をはじめとする韓国の人には、「新しい歴史教科書」や「首相の靖国参拝」が、そうであるように見える。日本の政府が結構右よりに強硬なので余計にそう思われる。そこで韓国人は日本を「軍国主義の復活だ!反省が足りない」と非難するのだが、当の日本国民はそんなことを考えていないわけだから「何をこいつらはさわいでるんだ?」となる。まぁ大体において日本政府のこうした諸問題への対処については、日本国民も「なんだかなー」と不満に思っているところが多分にあるので、それに対して韓国人が怒るのは理解できないでもない。でもなぜ平和的なわれわれ日本国民までが、ボロクソに言われにゃならんのだ、というのが最近の日本の若年層の率直な意見ではないだろうか。著者はこういうのだ。そういう日本政府の誤った政治に対してなぜ日本の国民は戦わないのか?政治意識が低く無関心をきめこんでいる日本人が許せない、嫌いだ、と。なるほどそういう論法なのか、驚いた。
第2話で指摘されている、この日本人が政治に無関心という点は、「確かに」と納得した。
第3話の靖国についての批判は、かなり的外れ。遊就館の展示を日本人の歴史観の代表のように言われても困るし、そもそもほとんどの人が遊就館の存在すら知らない。この著者の妄想が暴走している。ただし、私が「嫌韓流」で違和感をいだいた「朝鮮は日本が植民地化したおかげで発展したのだから感謝しろ」という暴言については、この本でも断罪されている。朝鮮における植民地経営は台湾のようではなかった、ということであろう。
第4話。竹島が韓国固有の領土であるという話。微妙にロジックに矛盾が生じているところもあるのだが、理屈はわかった。あと、明治政府や岩倉具視太政官令などで竹島は日本の領土ではないと島根県に訓令をだしている資料が掲載されていて、へぇと思った。これ本物?
第5話。韓流ドラマに対して日本が嫉妬している、という著者の主張にはあきれた。
まー、山野車輪の心のせまさが表れている嫌韓流もちょっと幼稚だが、この嫌日流の著者の視野の狭さも相当なものだ。お互いがお互いを「あいつらは洗脳されている」と言ってるのが今の日韓関係なわけで、日本における韓国通?である山野車輪と韓国における日本通?であるこの著者がこんなんじゃ、先が思いやられる。