ボーダーズ赤字

http://www.business-i.jp/news/world-page/news/200703240019a.nwc
先月米国へ出張に行っていた上司から聞いた話だと、アメリカではこうしたコンテンツパッケージの大型の専門店が非常に不振で、淘汰される傾向にあるらしい。あのボーダーズが赤字転落というニュースにはショックを隠しきれないが、本などはまだましなほうで、CDの専門店などはもっと厳しいのだそうだ。アメリカではタワーやHMVはすでに時代遅れになりつつあって、みんなどこでCDを買っているのかというと、結局ウォルマートスターバックスitunesで購入しているのだとか。発展が見込まれる中国でも、専門店が出店される計画はないらしい。中国で音楽が消費される頃には、すでにパッケージメディアが消滅していて、ダウンロードによる流通に変わっているだろうから今パッケージ店の出店を検討する意味がないというのだ。メーカーもすでにこうした専門店を相手にしておらず、既存の店舗の売上をあげていこうというのではなく、別の流通チャンネルを探すことに熱心になっているのだという。
小売先進国であるアメリカがそうであるということは、日本でも3年先ぐらいには同じことが発生するのだろう。現にその兆候は見えている。日本でも専門店だけでは生き残れなくなってきているのだ。最近地方や郊外のイオンのような巨大な商業施設にこうした大型チェーンがテナントインすることが多くなっているが、これも都心や都市部にあるこれまでの主力店舗がはげしく前年割れを起こしていることへの対策に他ならないのだろう。今月紀伊国屋書店は5店舗もこうした施設に出店しているが、これはイオンの集客力を借りなければ、紀伊国屋書店といえども客が入らなくなってきているということを暗に示している。しかしこの出店戦略は、顧客の専門店離れに対する根本的な解決になっているのだろうか?こうした地方への拡大出店路線は、数的な限界がある上に、かつてのダイエーのようにその商業施設自体がダメになってしまったとき、どうしようもなくなるという意味においてリスクも高い。
書籍専門店が生き残るためには、どうすべきなのだろう?
ひとつは複合化。粗利の高いものと組み合わせる。たとえば新刊本+中古本のような業態だ。最終的には日本の書店の多くがこのようなパッケージに変わっていくのではないだろうか?
ふたつめは、書店粗利率アップの実現。すべてにおいてこれが優先される。再販制がどうなることやらわからない状況だが、現状の仕組みでこれが改善されないかぎり、再販制どころか業界全体の維持が怪しくなってくる可能性が高い。
みっつめは、効率化。低コストモデルをつくりあげないと生き残れない。ジュンク堂や三洋堂の勝ちパターンがこれだ。
個人的には、もっと楽しい仕事がしたいのだが。