ゴールデンスランバー

ゴールデンスランバー

これは本屋大賞の最有力候補といってもいいかもしれない。直木賞担当者は、この作品を今回候補にいれなかったことを後悔することになるかもしれない。仮に次回の直木賞候補になったとしても、世間の話題的には本屋大賞の二番煎じになる可能性が高いからだ。
ついでに、この作品は映画化もされるだろう。伊坂幸太郎の過去作品の中でも最も映画的なエンターテイメント性が高い。もう映画化権の争奪戦は始まっているんじゃないだろうか。ちなみに想定するキャスティングだが、主役は織田裕二で決まりだ。ヒロインは深津絵里あたり。アイドルはしょこたんかな?親父は泉谷しげるな感じだ。
私は、伊坂幸太郎「魔王」で発していた政治的メッセージには、どちらかというと反対の立場をとる人間なので、今作品の政治的メッセージもむしろ不快にうつる。ただ「魔王」と違って今作品は、それをテーマにして一級のエンターテイメント作品に仕上げているところがすばらしく、伊坂幸太郎には「たいへんよくできました」とハンコをおしてあげたい。
ただし新井英樹の「ザ・ワールド・イズ・マイン」と読み比べるとどうしても見劣りするので、評価は若干辛めとする。
評価A−