佐藤さん (講談社文庫)

佐藤さん (講談社文庫)

幽霊が見えてしまう少年と幽霊にとりつかれやすい少女のボーイミーツガールな淡い青春物語。著者が15歳の中学生で、森絵都さんみたいな文章で、いまどきこんなに純朴な少年少女はいるのでしょうか、絶滅危惧種なんじゃないの?と思ってしまうような登場人物たちが、なんだかほんわかした純粋なお話を繰り広げます。ケータイ小説よりか、よっぽど文章も物語展開もしっかりしており、十分小説として読み応えがあります。
でももうこの物語に心から共感できなくなってしまった私のように心が汚れつちまつた悲しい者には、とうの昔に失われてしまった思い出が、頭の片隅にかすかに滲み出すのみで、少しさびしい気持ちになりました。スタバのコーヒーを飲みながら読むのがオススメです。
なぜこの手のストーリーの主人公の親友に、超いいやつが多いのか、不思議です。