雑誌返品をやめてみたら?

取次の方から面白い話を聞く。
「chakichakiさん、ちょっとご相談があるんですけど」
「はい、なんでしょう?」
「雑誌の返品、やめたらどう?って案がでてるんですけど」
「え?それは雑誌を買いきりにするってことですか?」
「いやいや、そうではなくて、返品分の入帳はされるんです。ただ、送り返すのをやめるっていう話です」
「?」
「今までの取次って、雑誌の売上確定は「送品−返品⇒売上」で計算してたじゃないですか。これだと返品で戻ってくるまで売上が確定ができないんですよ。それをもう書店のPOS売上のデータで確定にしてしまっていいんじゃないかっていう案が出てるんです。そうなったら、売れ残りを送り返してもらう必要が無いんです」
「ほう!それは大胆な案ですね」
「この方法に変えると、今まで「送品−返品⇒売上」だったのが、「送品−売上⇒返品」になるので、売れなかったやつは全部返品入帳されるんですよ。仮に書店で万引きが発生してもこれまでは書店負担になっていたのに、この方法だと返品入帳されるから書店負担にならないんですよね」
「それはすごい。ということは、逆に言うと売れなかったやつは、極端な話、何をしようと返品入帳されるってことですか?書店的には転売してもいいわけですから、不正の温床になりそうな気もしますが」
「まあ、そのへんはもちろん折込済みなんでしょうけど」
「それのロスを差し引いても輸送費をはじめとした返品にかかっている設備投資コストを考えるとペイできると考えてるってわけですね」
「どうでしょう、この企画、実際やってみたら書店の方は喜びますかね?負担は減るんでしょうか?」
「返品輸送費を負担している地方の書店はその経費がさがるので○ですね。でも残った雑誌を事業ゴミで出すことを考えると、その分は相殺。作業量的には、今は無伝返品になっているから劇的に負担が減るというわけではないですが、さっきの万引きの件やあと売上データが迅速に次の配本に生かされるという意味では、書店的にはメリットのほうがが大きいような気がします。でも逆にこの企画、出版社取次的にはどうなんですか」
「もともとこの企画は出版社さん側から出た企画なんです。そこは大丈夫だと思いますよ」

色々なケースを想定してみましたが、考えれば考えるほど、この企画は合理的な気がしてきました。でも雑誌の売れ残りが古紙化されずにゴミになってしまうっていう問題はあるか。今まで実現されていないということは、他にもどこかに落とし穴があるのかもしれないなぁ。