アメリカ人の半分はニューヨークの場所を知らない (Bunshun Paperbacks)

アメリカ人の半分はニューヨークの場所を知らない (Bunshun Paperbacks)

久々にめちゃくちゃ面白い評論を読んだ気がする。さすがは町山さんだ。カリフォルニアに在住し、数多くのノンフィクション映画を欠かさずチェックしているその目から見たアメリカは、どう考えても狂ってるよ!という話。難しい専門書や教科書を読むよりも、この本のほうがよっぽどアメリカという国を理解するのに役立ちます。
半数のアメリカ人と同様、ニューヨークの場所を地図で正確に指し示す自信がない無学な私にとって、共和党が「自由」で、民主党が「平等」という話はとてもわかりやすくて勉強になりました。共和党は内政では小さな政府を目指して、経済を野放しにする(自由だから)、民主党は逆に規制を行い、国内経済を統制しようとする(ほっておくと広がってしまう貧富格差を平等化したいから)。外交では、共和党は基本的に孤立主義をとって、外国は外国の自由に任せる。民主党は、逆にやたらと干渉して介入したがる(世界を平等化したいから)のだそうな。
なぜブッシュが史上最低の大統領と言われるのか?それは、共和党の内政(経済を放置し金融危機を招く)と民主党の外交(外国の紛争に介入して泥沼化する)の悪いところだけを見事に兼ね備えてるからだよ、さすがだね!とは町山さんの評。
そんなブッシュを選び、人格者のマケインを選ばなかった、中西部の州のキリスト教原理主義者のかなり偏った思想(控えめな表現で)もすごすぎるし、それ以外にも町山さんが皮肉たっぷりに一刀両断するアメリカの数々の病理は、具体的な話が紹介されていて、いちいちとても面白い。というか爆笑だ。いや暮らしている人にとっては笑い話どころじゃないんだろうけど。
とにかくこの本はコラムとしてもとてもオススメ。しかも今が読むべき最高のタイミング。この目からウロコ本、年内中にぜひ買って読んでくださいませ。評価A