東京ブックナビ

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メタローグの緑の本が刊行されてからはや4年。それ以降、書店ガイドが発売されておらず、そろそろデータ的にも古くなってきて実用に耐えなくなってきたので困ったなぁと思っていたところに、この本が発売されたので購入。これでしばらく困らずに済む…
と思っていたら大間違いだった。この本は東京地図出版から刊行されているので表向きは実用書店ガイドの顔をしているが、実際の内容を読んでみるとむしろ書店評論に近く、全然実用的でなかったのだ。メタローグの緑の本と違って、そもそもこの本に収録されていない書店が非常にたくさんあり、収録基準も結構適当なので、データベースとしてはちょっと、の内容。
しかし東京に数ある書店の中でも、目立つ存在をピックアップしてその書店について評価コメントしているのだが、このコメントが緑の本と比べてかなりレベルが高くて読ませる内容。ただのガイド本のふりしてるけれども、この本はれっきとした評論読み物なのだ。
特筆すべきは、この手の書店紹介本ではおそらく初めてだと思われる、ブックオフの有力店についてのコメントがちゃんとついていることで、しかもその選ばれている店舗、およびその店の評価が非常に適切なのには、大変好感が持てた。ちなみにブックオフで載っているのは、秋葉原飯田橋荻窪・渋谷・自由が丘・白金台・西五反田の7店舗。もしブックオフで「勝手に本屋ミシュラン」を書こうと思ったらやっぱりこれらの店になるだろうと思うので、コメント書いてる方はプロ目線だと思う。
コメント掲載店舗は個性的な店優先なので、どうしても古書店中心の紹介ラインナップになるのだが、新刊書店の紹介では、なぜこの店が採用でこの店が載ってないのか?という疑問はやっぱりどうしても出てきてしまうなぁ。コラムなんかはかなり充実していて、なんだか学生が自主的に作っている講義情報を思わせるつくりなのだが、書店にも図書館にも全然関係の無い、康芳夫の特別インタビューが、何故か途中に20ページ以上も掲載されていたりと、一体何を読者に伝えたいんだか、なんだかよくわからない本だった。