本屋大賞読書週間
- 作者: 天童荒太
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2008/11/30
- メディア: 単行本
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テーマは、人の人生の本質とは何か?を問うもので、とても身近なものでありながらも、その答えとなると、深いのか遠いのか広いのか、非常に捉えどころがなく、つかみづらいことを真剣に考えさせてくれるストーリーです。読んでから一週間ほどたちますが、自分は誰を愛して誰に愛されどんなことで感謝されているだろうか、私の人生に価値などあるのだろうかとずーっと考えています。確かに鬱小説だ、これは。
このような難しいテーマを扱っていながら、文章自体は驚くほど平易で読みやすく、しかも構成に全く無駄がなく、作者の力量を感じさせてくれます。ぶっちゃけ言うと、「永遠の仔」のほうが傑作だと思いますが、この作品も直木賞の平均レベルは悠々クリアしてるのではないかと、勝手に思っております。
でも、これを人に薦めたくなるかというと、それは別問題。読んで面白い本ではないし、主人公には正直イラッとくる。ただし読んだ後、心には残る。私が人生この先、この作品のことを忘れてしまうことは、おそらくない。評価A