本屋大賞読書週間

新世界より (上)

新世界より (上)

新世界より (下)

新世界より (下)

1000年後の日本を描いたSFファンタジー大作。
1000年後と言っている割には、このSF世界設定に70年代後半から80年代前半の臭いがするんだけど、気のせいですか。映像作品で言うと「続・猿の惑星」と「電脳コイル」と「未来少年コナン」と「幻魔大戦」を一緒にしてかき混ぜたら、こんな物語になるのではないかと思われます。未来の物語であるという以外でほとんど共通点のないこれらの作品の要素を、破綻させることなくブレンドさせているのは、どれを読んでも外れが無い、安心の貴志祐介ブランドならではの力技ですね。並みの力量の作家ではこの融合世界構築は無理でしょう。
上下巻と長いですが、前半が「電脳コイル」型の静かな異世界モノ、後半が「猿の惑星」+「コナン」+「幻魔大戦」型の息もつかせぬ大冒険バトル物語になっています。後半がめっちゃ盛り上がりますので、挫折せずにがんばって読んでください。
貴志祐介ブランドはバラエティに富んでいて、本当にどれを読んでも一定レベル以上の面白さなのですが、今回のやつは、どちらかと言えば「クリムゾンの迷宮」「天使の囀り」系が好きな方にオススメです。
評価A-