奇跡のリンゴ

奇跡のリンゴ―「絶対不可能」を覆した農家・木村秋則の記録

奇跡のリンゴ―「絶対不可能」を覆した農家・木村秋則の記録

chakichakiさん、この本を読んでないんだったら、絶対読んだほうがいい。この本はもう15万部売れているけれども、そんなんじゃあ全然足りない。もっともっと売れなきゃいけない本なんだ。この本はそれぐらい感動するんだ。本当、ぜひ読んでください。
そもそもこの本の元になった「プロフェッショナル仕事の流儀」のその回の放送を見ていなかったこともあって、ずっとスルーしていたんですが、非常に熱いオススメをもらったので、読んでみました。
この本は、ちょっとすごいです。久々に読んでいなかったことを純粋に後悔した本でした。
青森のリンゴ農家である木村さんの作るリンゴは奇跡のリンゴと呼ばれている。そのリンゴは切って2年たっても腐らない。そして、異常に美味しい。どのようにしてその林檎は生み出されたのか。この本は、普通のリンゴ農家だった木村さんが、奇跡のリンゴを作り出せるようになるまでの壮絶な取組みを丹念に追いかけた傑作ノンフィクション。
木村さんのリンゴ栽培人生のその壮絶な戦いは、言葉を失うほどにすごい。普段こんな言葉は滅多に使わないのですが、「偉大だ」という表現が一番しっくりくる。何年も何年もリンゴが1つも採れない極貧生活の日々。もう死のうかと諦めかけたときに閃いた、コペルニクス的大逆転の発想。
物語として出来すぎだし、著者も若干大げさな筆運びなんですが、木村さんが到達した「奇跡のリンゴ」の真実、その理の意味するところは、恐ろしく深く、深い感動とともに、深く自分の生き方を見つめなおすことになります。

「自然の手伝いをして、その恵みを分けてもらう。それが本当の農業の姿なんだよ。そうあるべき農業の姿だな。今の農業は残念ながらその姿から外れているよ。ということはさ、いつまでもこのやり方を続けていくことは出来ないということだよ。昔は私も大規模農法に憧れたけど、その大規模農法地帯はどんどん砂漠化しているわけだからな。アメリカの穀倉地帯も、昔のソ連の集団農場も、今どうなっているか見たらすぐにわかる。どんなに科学が進んでも、人間が自然から離れて生きていくことは出来ないんだよ。だって人間そのものが自然の産物なんだからな。自分は自然の手伝いなんだって、人間が心から思えるかどうか。人間の未来はそこにかかっていると私は思う。決して大袈裟でもなんでもなくな。私に出来るのは、リンゴの木の手伝いをすることだけだ。たいしたことが出来るわけじゃない。だけど、それは人間の将来にとって、きっとためになることだって。これは少々大袈裟だけどもな、でも心の底からそう思うようになったんだ」

これはエピローグに登場する木村さんの言葉。この本を最後まで読み終わったとき、ラピュタでシータが最後にムスカに発したようなこの言葉が、心の底からそう思えるようになります。
この本は、読んでよかったです。読まれてない方はぜひお読みいただきたいです。
評価A