「文系・大卒・30歳以上」がクビになる

「文系・大卒・30歳以上」がクビになる―大失業時代を生き抜く発想法 (新潮新書)

「文系・大卒・30歳以上」がクビになる―大失業時代を生き抜く発想法 (新潮新書)

それ、私のことじゃないか、というキラータイトルに釣られて思わず購入。
この本はマクロ的な視点から、日本ではこれから大リストラ時代が始まり、まずは派遣切りからスタート、その次は必然的にホワイトカラーが対象になるため、文型大卒30歳以上はリストラ対象になる、ということを繰り返し説明してくれます。

この際だから、はっきりと言ってしまおう。
ホワイトカラーは、会社において存在しないほうがよい。
(中略)
絵に描いた餅に過ぎない中期計画の策定
度重なる人事制度の改定
行き過ぎた個人情報保護やコンプライアンスの管理
現場の意見を無視した情報システムの導入……
これらは、「経営企画部のための中期計画」「人事部のための制度改定」「監査部のためのコンプライアンス」「システム部のためのシステム導入」にすぎなかったのではないか。(中略)現在の日本企業の状況を見ると、これらの仕事が業績向上に寄与してきたとは考えられない。

もちろん極論ですけどね、と断ってはいますが、これから日本でおこる全国的なリストラは、上記のような考えに基づいて行われるが確実のようです。その考え方は、現場的には基本的に大賛成で、拍手喝采ものなのですが、「30歳以上の大卒・文系・特に男性」は、たとえ会社に貢献していると自分では思っていても、容赦なく真っ先にクビになる可能性が高いというようなことも書かれてあって、何だよ結局リストラされるのかよ、とテンションがさがりました。うちの会社もリストラの真っ最中。私もかなり危ないですね。
では実際に、企業ではどのようなプロセスでリストラが実行されていくのでしょうか。
この本の第四章が「人事部長M氏が見た光景」というタイトルで小説仕立てになっておりまして、このプロセスを「リストラ小説」として読むことが出来ます。人事部側がいかにして人を辞めさせようとするか、あの手この手の秘密のテクニックがバンバンと登場し、これがリアル過ぎて吹きました。うちの人事部がやってることそのまんまだし!
さて、そんな会社のリストラ策に対する防衛法についてですが、基本戦術は「さっさと見切りをつけてあきらめる」か「意地でも残るか」のどっちかしかないようです。それぞれの戦術にもやり方のコツがあるので、詳しくお知りになりたい方は、本書をお読みください。
でもどちらの場合も、いつ辞めるべきかのタイミングを常に社内情勢から見極めておくこと、辞めてからどうするかを今のうちから考えておくこと、の2つは心がけていたほうがよいようですよ。私も真剣に考えよう…。
評価B−