35歳からの本

35歳からのリアル

35歳からのリアル

「35歳からの」本が発売ラッシュ。一番売れると思われる上の2冊以外にも、35歳からの「愚直論」。 (Nanaブックス)とか35歳からの生きかたの教科書とか、続々と出てきております。今までも「35歳までにやっておくべきこと」みたいな本はありましたが、今回の刊行ラッシュに共通するのは、いずれも「35歳まで」にやっておくことを説くのではなく、「35歳から」どうやって生きていくかを指南するという本であることでしょう。
この大不況下、自分の将来に不安を抱える団塊ジュニアは、さぞかし多いことでありましょう。と、他人事のように言っておりますが、私もその一員、これらの本にあざとく狙われたターゲットでもありますので、ちょっと読んでみました。
えーと、ですね、ちょっと、何と言いますか、読んでドヨーンとした気分になれます。どっちの本も。
「35歳からのリアル」のほうは、これから訪れる仕事、家庭、生活、お金、健康、モチベーションについて、本当にリアルに、嫌になるぐらい事細かに丁寧に解説してくれておりまして、すごくタメになる本だと思いました。何せこの本は、今まで見てみぬふりしてきた恐るべき現実を、容赦なく暴き立ててくれるのです。
年収ダウンのこの時代、実は今こそが人生のピークであるということに気づいていますか?
あなたの夢は、現実的ですか?まず、何からあきらめるかを考えませんか?
今、1000万円持っていますか?65歳のときに少なくとも1500万円持っていないと生きていけませんよ。
若年層の労働力不足で、定年制度は崩壊しています。お金が無い分、あなたは70歳まで働くんですよ。
などなど、ソフトな語り口で結構ショッキングなことを次々と暴露していきます。この本、面白いなぁ…、全然笑えないけど。
「35歳からの教科書」のほうは、藤原和博さんが書かれているだけあって、もうちょっと高尚な感じ。「成長社会」から「成熟社会」に世の中が変わってしまったので、これまでと同じ戦法では生きていけなくなる。これからは「借金」と「時間」という資産を有効に活用する個人の時代、答えが存在しない修正主義の時代、そういう時代にあって、どのように生きていけばいいのか、そのための基本的な考え方というのを教えてあげましょう、という感じの本です。これまた、藤原和博さんの「私はこう考えてこうしてきた、あなたに出来ないことないはず」というレベルが、あまりにも高すぎて、ちょっと唖然。いや、無理っす。そんなに俺すごくないっす。藤原さんみたいに出来ないっす、と白旗あげて降参したくなること請け合いです。
いやぁ、35歳までモラトリアム続けてた結果がこれだよ、と、いまさらのように自覚して、将来におびえる私なのでありました。