船に乗れ!

船に乗れ!〈1〉合奏と協奏

船に乗れ!〈1〉合奏と協奏

船に乗れ!(2) 独奏

船に乗れ!(2) 独奏

船に乗れ! (3)

船に乗れ! (3)

[BOOKデータベースより]
音楽一家に生まれた僕・津島サトルは、チェロを学び芸高を受験したものの、あえなく失敗。不本意ながらも新生学園大学附属高校音楽科に進むが、そこで、フルート専攻の伊藤慧と友情を育み、ヴァイオリン専攻の南枝里子に恋をする。夏休みのオーケストラ合宿、市民オケのエキストラとしての初舞台、南とピアノの北島先生とのトリオ結成、文化祭、オーケストラ発表会と、一年は慌しく過ぎていく。書き下ろし、純度100パーセント超の青春2音楽小説。

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  結構、これ上位に来ると思ってます。傑作ですよ。
  これ面白かったんですけど、私、はじめ中高生向けだと思って読んでたので、結末にめちゃくちゃびっくりしてしまって・・・。その衝撃がちょっとあまりに強すぎて呆然としてしまい・・・。
 でもこれ、一巻を書いていた時点で「船に乗れ!」っていうタイトルだったんだから、あの結末は決まっていたわけでしょう?すごいよね。
 すごいですよね。一巻で読むのやめた人、二巻と三巻で全然違う話ですよ。趣が全く変わってびっくりしました。
  maruruさん「主人公と南がたいがいや」って言ってたじゃないですか。最後まで読んでそれはよくわかりました。
 もう、ほんと南さん、たいがいですよ、びっくりするわ。何なんやこの娘はー。ここまでコケにする人いるかな、ヒロインで。す、すげーっみたいな・・・(笑)。でも現実にもいるんでしょうね、こういう人って。人生ってあんなもんですかね。
 人生ってあんなもんですよ。そりゃそうですよ、こども優先ですよ。あれはあれでいいかなと思ったんだけど。
 まあ、あそこで「それでも私は音楽やりたい」ってなったらもっと引きますけどね。私の想像で一巻を読んだ時点で、中高生向けで夢や希望がいっぱいでそんな感じで終わるんかな?と思ってたんで、2巻以降でドン底期になるから、ええっ!?でしたよ。
 一巻が起、二巻が承転、三巻が結という感じしたね。
  話的にはすごく面白かったんです。でもある意味共感できすぎてイヤなんです。リアル過ぎて・・・。はぁー、10代とか20代とかの色々苦い思い出を思い出すんで。これは大人になってから読んだほうがいいですね。希望に満ち溢れている10代や20代では理解が難しいです。ターゲット的にどのへんを狙ってるんでしょうか?私ぐらいの年の人であれば、すごくいいのかなあと思ったんですけど。
 やっぱそうじゃない?30代以上でしょう。
 やっぱそうですよね。30代以上じゃないと厳しいですよね。でもあの装丁と、JIVEっていうところが、中高生向けなのかなあと思ってましたから。
 1巻だけだと全然深みもないのですが、2巻のラストがあんなんで3巻があれですからねー。しかも個々のエピソードに無駄がないですからね。何故2巻で主人公にあんな嫌われるようなことをさせるかなあと思ってたんですけど、最後にちゃんとそれもテーマに回収して、ストーリ的にはほぼパーフェクトな感じでした。
 1巻だけだと、ただの自慢話ですから、ぜひ3巻同時に読んでいただきたいです。三作読んでも全然長く感じないですよ。
 あとは好みの問題かなと思っていて、作者が本屋さんというのもあるので本屋大賞らいしい作品ということで、これは来るのではないかと思っています。
 え、そうなんですか!ということは本命?
 本命です。本命にします!めっちゃ迷いましたけど。
 おおーっ、基本的に、私、希望がある話が好きなんですよ。だから希望がある「天地明察」のほうが好きだな。
 「船に乗れ!」は希望がない話ではないですよ。人生の途上だというだけで。
 確かに希望は無いわけではないのですが、苦いですね「船に乗れ!」は。苦い話だなあって。
 なんか、去年も同じような話したよね。
 そうですね(笑)、去年も「告白」のほうが取りそうだっていうのはわかってたんですけど、それでも「のぼうの城」がいいって言いましたよね、私。

評者 評価 予想
chakichaki A
maruruu A-

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 さて、今回を振り返ってみて、どうでしょうか。
 今回私の中では「船に乗れ」か「天地明察」の二択なんですよ。あとは好みの問題です。
 好みの問題で言うと、私も本当は「天地明察」なんですけどねー。歴史好きだから。
 今回は本屋大賞選ぶの難しかったなー。今回自信ないです。例年、何かのタイトルが図抜けてるものなんですけど、今回私はそれが「1Q84」でしたからね。
 「船に乗れ!」と「天地明察」の争いというのは意見が一致しましたが、もしそうじゃなかったとしても今回は全然不思議じゃないですね。それぐらい接戦でレベルの高い本屋大賞ノミネートでした。楽しかったです。