図書館の主

図書館の主 1 (芳文社コミックス)

図書館の主 1 (芳文社コミックス)

とある町の小さな児童図書館が舞台のマンガ。ある夜偶然この図書館に迷い込んだサラリーマンの宮本は、そこで名物司書の御子柴から、新見南吉の『うた時計』という作品を渡される。その作品は宮本にとって人生を変えるくらい衝撃的な内容だった。
こんな感じで第一話が始まるこの『図書館の主』という作品ですが、すごくよいです。
ティーブンソンの『宝島』、オスカー・ワイルドの『幸福の王子』、ラーゲルレーヴの『ニルスのふしぎな旅』など紹介されている作品は児童書の名作中の名作ばかりですが、冒頭の宮本さんのように、こうした本との出会いで生き方が変わっていく人たちを、暖かく見守っていく連作短編になっていて、実に感動的なんです。
また一話ごとに、ハッとするセリフがあってそれもいいです。
第一話
「お前が本を選ぶんじゃない。本がお前を選んだんだ」
第二話
「この膨大な書物の中から自分だけの一冊を見つける。まさに宝探しじゃないか。その楽しみを奪ってどうする」
第九話の御子柴のセリフは、まじでかっこいいですよ。
「病気であろうとなかろうと、人はいずれ死にます。だからこそ、出会う一冊が大切なものになってほしいんです!」