鍵のない夢を見る

鍵のない夢を見る

鍵のない夢を見る

辻村深月さん、直木賞おめでとうございます。
ということで読解力がないことで定評のある当ブログ主が珍しく、直木賞作品を受賞当日に読んでいる。
短編集で5つの短編が収録されている。主人公は全員が女性。泥棒、放火、殺人、誘拐と、それぞれの話は犯罪が表テーマになってるんだけど、それに巻き込まれる主人公の女性たちの歪んだ心理というのが裏テーマになっていて、それを冷めた目線で眺める、っていうのが適切な読み方になるんかな、こういう作品は。
一番気に入った話は、二話目の放火の話と四話目の夢と殺人の話。男性登場人物のダメ糞っぷりが、まるで鏡にうつる最低の自分を見ているようで小気味よく、そんなダメ男に翻弄される主人公の女性のダメ思考もすばらしい。
気に入らなかったのは、直木賞選考委員の評価が高かったと思われる三話目の逃避行の話。キャラクターが人工的すぎて好きではない。
五話目は最後の一行のホラーな感触はよいが、ストーリーの展開が予想通りすぎた。
個人的には、良作ぐらいの評価なので、数ある辻村作品の中でもなんでこれが直木賞?というのはあるんだけど、まあ直木賞はそういうもんだし。
それにしても一話目以外の登場人物は、どいつもこいつもダメ人間ばかりだ。この作品は、誰もが持っているであろうダメな部分を極端に強調し、何かが欠落してしまった人たちが織り成すダメ人間物語なのだと思う。

辻村さんの受賞作「鍵のない夢を見る」は、泥棒、放火、誘拐…と、5つの各編ごとに「犯罪」をモチーフにしてまとめた短編集。地方や郊外を舞台に、女性を主人公にして普通の人に魔がさす瞬間を巧みな心理描写を交えて綴っている。

とネットのニュースでは紹介されていたが、どこが普通の人なものか。この記事を書いた人は、彼らを普通の人だと思ったのだろうか。ダメな人に魔がさしているだけなんじゃないのか。