仮面山荘殺人事件

仮面山荘殺人事件 (講談社文庫)

仮面山荘殺人事件 (講談社文庫)

東野作品は苦手なので、ほとんど読んでいなかったのだが、先日ミステリマニアの俺が日本推理小説ベスト10を発表するという記事を読んで、この作品が9位にランクインしており、未読だったので読んでみた。ちなみにこの記事に出てきた他の作品は大体読んでいたが、順位には納得いたしかねるとは申し上げておこう。まあ大体、マニアの作るランキングは一般人の感覚とは、ずれてるから得てしてそういうものなんだが。
で、この作品である。犯人の正体自体は1章の段階でわかったんだが、仕掛けが全然わからない。解説の折原一は本職だけあって、1章読んだだけで仕掛け見破ってしまったらしいが、僕は最終章まで読んでようやく大規模にひっくり返される気分を味わった。真相を知ってしまった今思えば、本作のヒロインである雪絵さんにつきまとう医師の存在、こいつが全体的にミスリードだったなあ。
ただ、何ででしょうね。どんでん返しなのにそんなに意外性がなくて爽快感は覚えない。矛盾したことを言ってるけどそういう感じ。ミステリとして、大変よく出来てる作品なのだが、よく出来すぎて全体が整ってしまった感があるからかもしれない。
東野作品ではマイナーな本作。なんと初版はノベルスで2万部しか刷られず、重版なしだったのだとか。いや、さすがにそれは売れなさ過ぎではないだろうか。少々もったいない気がする。