これからの消費社会

第四の消費 つながりを生み出す社会へ (朝日新書)

第四の消費 つながりを生み出す社会へ (朝日新書)

「消費」だとか「郊外」だとか「世代論」とかをマーケティングの切り口から分析していくのが好きでして、三浦展さんや牛窪さんの本はちょくちょく拝見させていただいております。三浦さんは社会学的にアプローチして、統計的な現象面に意味づけをしていく作業が得意な方で、どちらかといえば理論先行型。牛窪さんは、世の中で流行している事例を取材を通して大量にサンプルとして収集し、それぞれの現象の本質を、キーワードで整理してつなげることでいま何が起きようとしているかを明らかにしていく方で、どちらかと言えば現場実証型です。
というわけで、三浦さんの「第四の消費」と牛窪さんの「おゆとりさま消費」、バランスをとって今日は両方挙げてみました。というのも、言葉は違えどもこの二つ、同じ現象を指していると思えるためです。
安くてよいものしか買わない、無駄な機能や不要なものがついているものは買わない、エコ志向でシェアするのが好き、「楽しく」遊ぶことよりも誰かと遊んで「嬉しい」気持ちのほうが大事、誰かとゆるくつながりたい、地方志向で日本志向、個人主義だけど利他的。
「若者の○○離れ」という言葉を最近よく見かけるのは、おそらくこの新しい価値観とライフスタイルが若年層を中心に支配的になってきたためでしょう。「いつかはクラウン」とか「テレビは大きいものに買い換える」とか「一人一台」といった、これまでの価値観にもとづいたマーケティング戦略しかとれない企業は、いつのまにか時代に取り残されているのです。

第三の消費社会までは物の消費が中心だったが、第四の消費社会が発展していくにつれて、消費は、単なる物の消費から本格的な人間的サービスの消費へと変わっていくことはまちがいない。しかしそれは、単に金銭を払うことで一方的にサービスを受け取るのではない。消費を通じて、もっとお互いの人間的な関係を求める人々が増えていくであろうと予想されるのだ。

とすれば、言うまでもなく、サービスではなく、物の売買の場合であってもそれは同じことであって、誰がどのように物を売るかが重要になるだろう。すなわち通り一遍のマニュアル的な販売ではなく、物への十分な知識と愛情を持った人間が物を売るということに人々は大きな意味を感じるようになるにちがいない。

そういう時代はもう始まっているし、これからのリアル書店の役割は、そのあたりにヒントがあると思うわけです。
さてどんな店を自分は作りたいのだろう。