楽園のカンヴァス

楽園のカンヴァス

楽園のカンヴァス

本屋大賞ノミネート作。「日曜画家」アンリ・ルソーの謎をテーマにした力作です。これは面白かった。
美術館には年に一度行くか行かないかぐらいの私なので、アートを解する心は皆無に近いものがあるのですが、なぜか『ギャラリーフェイク』は大好きで全巻集めておりました。多分、贋作だとか真作だとか、そういう美の本質とはずれたところで右往左往する人間のドラマを見るのが好きだからなのではないかと思います。
そういう意味で、本作は直球ど真ん中でしたね。しかも、著者の原田マハさんはかつてニューヨーク近代美術館に勤務されていただけあって、紡ぎだすストーリーの説得力も本物でした。とても素晴らしかった。こういう万人にオススメできるタイトルが、、本屋大賞に選ばれたらよいなあと思いました。投票権持ってないですけど。
評価A


ところで実はこの本、古書店で購入したのですが、ちょっと変わった痕跡が残っていました。
132ページでヒロインである早川織絵が、ピカソがルソーの影響を受けていると自分の説を述べるシーンがあるんですが、具体的な事例として挙げられている絵が、本来なら文章だけだったのに、カラーコピーされたものがそのページに貼り付けてあったんです。おかげで織絵説の理解が容易でした。どなたかわかりませんが、ありがとうございました。