重版出来

重版出来! (1) (ビッグコミックス)

重版出来! (1) (ビッグコミックス)

ずっと「じゅうはんでき」だと思っておりまして、「じゅうはんしゅったい」と読むって知ったのは、割とここ数年の話だったりする私です。というか、書店にいたとき、電話で出版社に散々「じゅうはんできはいつですか?」って聞いてたけど、出版社の電話の人も「じゅうはんできは21日ですねー」とか絶対言ってた気がするんだよな。こっちに合わせてくれてたのかもしれんが、少なくとも「しゅったい」という言葉は聞いたこと無いですよ。
というわけで書店員なら誰もが知ってる出版業界用語「重版出来」がそのままタイトルとなったコミックです。
重版というのは部数を増刷するということなので売上好調の印ですから、『重版出来』は、出版社も書店も著者もみんな聞いただけでハッピーになれるという魔法の言葉なんですね。
というのも実は現在日本では出版されるタイトルの70%が重版されず、初版が刷られてそのまま絶版になるという運命を辿っているからでして、普通に売ってただけだと本当に初版止まりになってしまうのです。でも知られて無いだけで、本当に素晴らしい作品なのに、なかなか売れ行きが伸びなくて重版にならない作品は実際には結構あります。
この『重版出来!』は『タンポポ鉄道』という架空の漫画作品を、編集者と営業と書店員の熱意で売れる作品に変えていくという、この業界関係者だと泣かずにはおれなくなる胸熱の作品でして、ちょっとね、これはやばいですよ。涙腺崩壊的に。
こんなにいい漫画が売れないなんて許せませんので、みなさんぜひ買って読んでみてください。