沖縄に行ってみたい
- 作者: 宇田智子
- 出版社/メーカー: ボーダーインク
- 発売日: 2013/07/01
- メディア: 単行本
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最初はどこか想像上の架空の町を設定して、そこに出店する企画をつくってもらおうかと考えていたのだけれども、実際にその架空の町の資料を作ってもらってみたら、そもそも私自身が全くどんな書店を作ったらいいのか本当に何も思い浮かばない。
架空の町は、頭の中で作り上げたものだから表層の薄っぺらい設定しかない。それだとそこに住んでいる人がどんな生活を送っているのか、普段何を考えているのか、どういう本を欲しいと思っているのか、正直想像するのがとても難しいのだ。どうやら我々は無意識に、その土地の結構深いところまで考えを巡らして売場や棚を作っていたんだなぁということを、今更ながらに発見する。
さて研修のほうである。
じゃあ、しょうがないので架空の町に出店することはあきらめて、特徴のわかりやすい極端な場所に出店するということにしたらどうだろう、たとえば沖縄とか、と思いつくままにそれまで思ってもみなかったことを口走ってしまったのは確かに私だ。
なんと、それがあっさり採用されてしまった。
割と旅行は好きな方なのだが、実は沖縄だけは行ったことがない。なので暑いんだろうなあ、海きれいなんだろうなあ、台風すごいんだろうなあくらいの貧弱なイメージしかもっていなかった。
出店シミュレーション用マーケティング調査を開始する。沖縄という土地のことを調べるのは初めてだ。ただの研修用の調査だから現地にいけるわけではない。大量の統計データを収集し、地元の人のウェブ掲示板やブログをなめるようにチェックし、『空から日本を見てみよう』のDVDで沖縄本島をくもじいと一緒に一周し、何冊もの沖縄本を斜め読みする。いやいやこれが、夢中になるほど面白い。
行ったこともないのにすっかり沖縄のライフスタイルに詳しくなってしまって、本当に出店できたら面白いのになどとあらぬ妄想をしてしまう。
というかそれ以前に、まずは仕事抜きで行ってみたくなった。ものすごく。
前段が長くなってしまったけれど、この本はそんな中、そう言えば「沖縄に本屋出店しました」みたいなそのものずばりな本があったよなぁとふと思い出し、ひっそりと店の棚にささっているのを購入して読んでみたもの。著者の宇田さんはジュンク堂の那覇店の立ち上げメンバーで、そのまま沖縄に住み着いてジュンク堂をやめ、「市場の古本屋ウララ(http://urarabooks.ti-da.net/)」という店をはじめる。これがものすごく面白いのだ。
宇田さんの文章がうまい、というのもあるのだけれど、古本屋の日常と地元の人との会話が生き生きとしていて、沖縄のなんとも明るい空気感がとてもよく伝わってくる。「くもこ」の話なんて最高だ。研修うける人たちにも、この本はオススメしようかと思っている。研修受けたら沖縄に行きたくなるに決まっているからだ。
いつ行けるかまったくわからないが、那覇に着いたら、まず最初にウララに行ってみようと思う今日このごろ。