141/200

フライング・ブックス―本とことばと音楽の交差点

フライング・ブックス―本とことばと音楽の交差点

フライングブックスの山路さんとお会いするのは、これで2度目なのですが、不思議な魅力を持った方です。まだ20代の若さで渋谷古書センターの2階に店舗を構え、日々古本の仕入をやっているだけでなく、CDのプロデュースやイベント制作まで精力的にこなしているみたい。柔和な外見からはちょっと想像できないぐらいパワフル。
ビートカルチャーに興味のある山路さんの目指す方向性は、あくまで本を「文化財」に戻すということ。フライングブックスの基本理念にこんなことが書かれています。

・本を「消費材」から「文化財」に戻す
現在の新刊書店店頭に十年後古書として扱いと思える本がほとんどない。懐古ではなく、現在・未来をおもしろくするために、過去の刺激的でこだわりのあるモノをこれからのクリエイターに伝えていく。それによって、新しく造られた創作物が世に出回り、いずれまた古書市場にも帰ってくることになるはず

この一文にはドキリとしました。山路さんと私では、目指す書店の在り方が180度真逆に違います。私が本を「消費材」から「文化財」に戻すことを諦めてしまっていて、「消費材」を積み重ねて演出することで「文化」を作り出そうとしているのに対し、彼はあくまで「本」それ自体に「文化」を求めていて、今の時代の流れにあえて戦いを挑もうとしているのです。そりゃ、店舗の作り方も人生も違ってくるよなー。評価B