吉原手引草

吉原手引草

Perfect!何もかも完璧に構築されたすばらしく完成度の高い小説。その巧さ、面白さに唸るばかり。
舞台は吉原。当時人気絶頂だった花魁葛城の突然の失踪事件の真相は!?という大きな謎が縦軸。嘘ばかりの街吉原に棲んでいる関係者に話を聞いていくうちに、事件の意外な真相が浮かび上がっていく、というミステリ要素が非常によくできています。横軸はこの吉原の花魁文化そのもの。魅力的だけれども複雑で非常に説明しがたいはずなものをこんなにも分かりやすく丁寧に、しかも小説としての体裁を崩さずに書き上げているのは見事としかいいようがなく、大変面白く読めました。安野モヨコ「さくらん」を読んで面白かった人は、必読でしょう。ただちょっと最後だけがやや物足りないんだよなー。評価A