死体にもカバーを (創元推理文庫)

死体にもカバーを (創元推理文庫)

南フロリダの独立系書店「ページ・ターナーズ」で書店員をやっている主人公のヘレン。薄給の中、困ったお客さんともっと困った最低のオーナーにめげず奮闘する日々。そんな中、そのオーナーが何者かに殺されて、容疑者としてヘレンの親友が逮捕されてしまったのだ。絶対に彼女は殺しちゃいない!でも状況から見て、仲間の書店員がやったとしか思えない!ヘレンは親友を救うべく、ひそかに調査を開始するのだが…。
というわけでミステリの本場アメリカから届いた書店ミステリを読んでみました。書店ミステリと言えば、日本では成風堂書店シリーズが有名になりましたが、エンターテイメント度といいストーリーの運び方といい、伏線の張り方といい、やはり本場のミステリはレベルが違います。とは言え、この作品に本格ミステリを期待してはいけません。むしろ、須藤理彩が主演したらピッタリ!の火曜サスペンス劇場といった趣きのストーリー展開です。
面白かったのは、アメリカの書店員のお仕事。著者はバーンズアンドノーブルで一年間書店員として勤務した経験を小説に生かしているので、書店の内情描写がものすごくリアルです。いやー、しかし書店員の待遇は薄給だし、やってる仕事が重労働なのも一緒だし、困ったお客様に頭をいためるのも一緒だし、資金がショートして仕入ストップしたら棚がガタガタになって面陳でごまかすのも一緒だし、アメリカの書店と言えど日本の書店の惨状と大差ないんだなぁという意味ではちょっとショックでした。アメリカなんだからアメリカンドリームな書店(意味不明)であってほしかったです。
ただ、日本の書店との違いも所々見ることが出来ます。たとえば物語の冒頭、ヘレンがバックヤードでしている仕事は何と「ストリップ」。思わず「ええっ??」って思ってしまうのですが、アメリカでは「本屋でストリップといえば、ペーパーバッグの表紙をはがす(ストリップ)すること」なのだとか。なんだ表紙返品のことだったのか。
面白いので私もこれからは表紙返品のことをストリップって呼んでみることにします。新人のバイトちゃんに「今からそばで見ててあげるからストリップやってよ」とか言ってみるのです。完全にセクハラですね。ありがとうございました。評価B