6年ぐらい前に初版5千部で刊行され絶版寸前だったのが、どこかの誰かが発掘して「これが面白くなくて何が面白い!」というPOPを作ってくれたおかげで、今や6万5千部に、という仕掛け販売で話題の本です。うちの文庫担当者が仕入れてきてたので読んでみました。
5作品からなる短編集です。
■企業戦士のサラリーマンの家にいつのまにか変な男が棲みついていた!「床下仙人」
■うだつがあがらなさそうな五十代のおじさんが隣の席に転勤してきた。このおじさん、平社員のはずなのに、不思議な権力を持っていて…「てんぷら社員」
■自分の住んでるマンションが男性社会に戦争を挑むOL軍団の基地にいつの間にかされてしまっていた!「戦争管理組合」
派遣社員が正社員を使う立場になってもいいのではないか?という人材派遣サービスでとんでもない社長が派遣されてきた!「派遣社長」
■家出少女と失業中年が始めた押し売り靴磨きサービスはうまくいくのか?「シューシャイン・ギャング」
正直申し上げまして、あまり期待はしていなかったのですが、面白かったです。サラリーマンNEO星新一を足して2で割ったような世界。サラリーマンファンタジーと言えばいいんでしょうか、学生さんとかには、多分響かないんだと思うのですが、私みたいな、一日13時間労働のしがない中年ワーキングプアには、身につまされる話でしたねぇ…(特に「床下仙人」が)。でも最後にちょこっとだけ希望が見えるような話の終わり方は、予定調和ではあるんですが、私のような者も救われる感じがして、結構好きでした。評価B