新風舎民事再生

http://www.asahi.com/culture/update/0106/TKY200801060159.html
今日は直木賞候補の発表だというのに、話題は新風舎倒産に全部さらわれましたね。以前「危ない共同出版」について書いた時に一度この新風舎の「錯覚商法」問題には触れておりますが、やはり客の信頼を裏切るようなビジネスは、続かないものです。昨年から頻発した食品偽装問題にも何か通ずるものがあるように思えます。
新風舎の出す本はほとんどがクズ本でしたが、ときどき面白い本が混ざっているので、支援企業にはがんばって事業を継続していただきたいと思います。この本なんか、立体メガネで東京の空撮写真を見るという3D写真集なんですが、結構ユニークですよ。

3D‐TOKYO

3D‐TOKYO

ところで、この新風舎、出版事業だけでなく、書店も経営していることはご存知ですか?事業再建の途上でこの書店がどうなってしまうのか、全くわかりませんが、実はこの新風舎直営書店「マウンテンルート」は、本屋ミシュランで取り上げようかと思っていたくらい、個性的な書店なのです。中でも福岡天神のイムズの中にあるマウンテンルートは、一度は訪ねておきたい必見書店の一つです。こちらに写真が掲載されていますので少しは雰囲気が伝わるでしょうか。
■福岡新風舎マウンテンルート店内マップ
ブック&カフェをベースとしながら、店内に和風空間があったり、謎の洞穴があったり(しかも入れます)、丘にのぼる坂があったり、と空間的に非常に凝った作りになっており、うろうろするだけで楽しめるお店になっています。入口にあるパズルのオブジェもかっこよくて、内装デザインは見事なつくりです。ちなみに私は30分以上本も見ずにうろうろしてました。こういう迷路のようなレアな店、結構好きなんです。
ただですね、このように見事な内装デザインの書店ではあるのですが、問題?が一つありまして、えー、実はこの店には新風舎の本しか置いていないのであります。そりゃそーか。
まあ、新風舎の本だけで書店が一軒ちゃんと出来てしまうというのは、やはり恐るべき発行点数というべきなのでしょうか。通常の書店には並んでいない本しか並んでいない書店というのは、存在そのものが逆説的でとても不思議な感じがするのですが、逆に見たことない本ばっかり並んでいる棚というのは、むしろ新鮮に映って面白いものです。
まあ、そんなわけで厳しいのかもしれませんが、この店はなんとか残しておいてほしいなぁと思う次第です。赤字だとは思いますが。