2050年に日本はアメリカに戦争を仕掛けるらしいですよ

100年予測―世界最強のインテリジェンス企業が示す未来覇権地図

100年予測―世界最強のインテリジェンス企業が示す未来覇権地図

地政学という学問をご存知でしょうか。Wikiではこんな説明がされております。

地政学とは地理的な環境が国家に与える政治的、軍事的、経済的な影響を巨視的な視点で研究するものである。イギリス、ドイツ、アメリカ合衆国等で国家戦略に科学的根拠と正当性を与えることを目的とした。

早い話、「この国は地理的にこういう場所にあるから、必然的にこういう歴史になったのだ」と言い切ってしまう学問ですね。その主張がある程度正しいのは間違いないのだけれど、それと同じくらい胡散臭い学問であることも事実です。
この本はそんな地政学の専門家が、今後の100年にどんなことが起こるか、国際情勢を予測してみるというちょっと無謀な本です。さてさて人類の未来はどうなってしまうのでしょうか。気になる日本の未来予想図をピックアップしてみましょう。

  • 2030年代 アメリカの独り勝ち時代が続く。ヨーロッパは、分裂したままゆっくり衰退している。中国は、沿海部と内陸の格差拡大のため中央のコントロールがついにきかなくなり、内部崩壊してしまう。朝鮮半島は、この時期に統一される。
  • 2050年代 アメリカに対して4つの国が台頭する。それは日本、トルコ、ポーランド、メキシコだ。
  • 人口縮小が深刻化した日本は、海外にうって出るしか生き残りの道がない。日本は弱体化した中国とロシアの沿海部に資本を投下して影響を拡大しようとする。しかしアメリカは韓国や中国と連携してそれを封じ込めにかかる。エネルギーを絶たれ追い詰められた日本。ついにイスラム諸国に対する影響力を拡大し、かつて大帝国だったころの力を復活させたトルコと同盟を結び、アメリカに戦争を仕掛けることを選択する。太平洋戦争の再来だ。
  • この時代の戦争は、兵器の命中精度がとんでもなく上がっているため、逆に人があまり死なない。宇宙から軍事衛星で位置を測定し、そこにしかミサイルをたたき込まない効率的な戦争になっている。つまりどれだけ優秀な軍事衛星を保持しているかが、これからの戦争における優位性を決める。
  • 地上からの攻撃は衛星に察知されて撃墜されてしまうため、日本は月面に秘密裏に設置していた軍事基地からアメリカの衛星に奇襲攻撃を加え、同時にアメリカ本土の軍事基地にミサイルを叩き込む。大ダメージを食らうアメリカ。しかし最終的に勝利するのはやはりアメリカなのである!

………。本の帯に「「影のCIA」と呼ばれ、各国政府や一流企業に助言する情報機関による衝撃の未来予想」とあるのですが、ジュセリーノの予言レベルであり得なくないですか?いろいろと。
あまりにも途中から荒唐無稽になってきてついていけなくなってしまったのですが、著者はこう言います。今から100年前、まだ第一次世界大戦が起こる前、オスマントルコ帝国がまだ存在した時代、誰が今のこの国際情勢を予測していたか、と。その時代の人に今の現実を語っても荒唐無稽な話と思われるだけだろう、と。いや、確かにそうなんですが。

さて、この本ですが、日本について書かれているのはごく一部分です。ほかの国がどうなってしまうのか詳しく知りたい方は、読んでみてください。何にせよ、今から40年後、日本がアメリカに戦争を仕掛けるなんていう悪夢のシナリオは回避してほしいものですが。
評価B