宮部みゆき先生の現代ミステリーの最新作がもうすぐ発売される。
http://www.shinchosha.co.jp/solomon/
新潮社のサイトによると、構想15年、連載9年の大作である。
宮部作品が凄いと思うのは、ストーリーテリングのうまさもさることながら、そのミステリーの中に縦軸として取り上げられるテーマの社会的メッセージが、常に時代の先端を照らしている事だと思う。
これまでも『火車』で多重債務の問題を、『理由』では建物の占有の問題を、『模倣犯』では犯罪被害者や加害者の家族が直面する地獄を、鋭く抉ってきた。そのときどきの社会の歪みを炙り出して、見事に昇華する先見性。犯人とかストーリーは忘れてしまっても、テーマだけはずっしりと読後もずっと残り続ける、そんな作品だと思う。
今回の『ソロモンの偽証』、中学2年生・柏木卓也が中学校の屋上から転落して死体で発見されるところから物語は始まる。柏木卓也の死は自殺か他殺か――。犯人を目撃した「告発状」の出現。動き出すマスコミ。
何だかあの事件を彷彿させる。どんな作品なのだろうか。