それでもお店を作りたい人のためのガイドブッ (就職しないで生きる!)

それでもお店を作りたい人のためのガイドブッ (就職しないで生きる!)

サンクチュアリ出版の高橋歩の本によく似ています。ややこっちのほうが実戦向き。並べて置いたら多分売れそう。この本の主旨は「やりたいことをやろう」「相手にあわせることなんか考えるな」「自分が本当に好きなことをやれば成功できるんだ」みたいな、よくある自己実現的なメッセージをふんだんに散りばめたHOWTO独立本です。HOWTO部分がとても親切に書かれていて、この通りやればこんな私でも小さな雑貨店のオーナーぐらいにはなれそうです。
しかし、こんな本売ってしまっていいのかと逆に良心が痛みます。帯には「将来に悩むニート世代必読!」なんて煽ってますが、ニートな方にはむしろ読んで欲しくない感じ。相手にあわせず、本当に好きなことだけをやって、全く成功していない人なんて腐るほどいますからねー。さも「好きなことをやる」のが成功の要因だったかのように読者を洗脳してるのですが、素直に騙されて人生を棒にふってしまう人もきっといるのでしょう。
よくよく読んでみると著者のオオヤギみき氏の成功の要因は、著者の主張とは別のところにあると気づくはずです。
①人脈が豊富。そしてそれをフルに使っていること。
②事業を始めるにあたって、事前に徹底的に調べていること。
③製作物に妥協してないこと。
この3点。これがオオヤギみき氏の成功ポイントですね。「やりたいこと」云々は多分関係ない。評価Cこの本めちゃ面白い。団塊の世代批判にオタク擁護、50年代のアメリカに始まる「若者」の発明に、日本の「反復の80年代」と、目からウロコな内容でした。大塚英志の一連の物語論と同時並行して、前々から気になっていた団塊の世代団塊Jrの世代のこの「差」って何なんだろうという個人的なモヤモヤした疑問に、この1冊の力はとても大きかった。基本的な論旨として、大変納得できるものを感じます。
でも金原さんも最後の方で述べてますが、ちょとオタク世代を美化しすぎですね。

「自分探し」や「自己表現」という言葉が流行ったのは、八〇年代のことです。今でもよく耳にしますが、ビジネスの文脈で、売らんかなというキャッチフレーズとして使われることが多いので、根も葉もない軽薄な言葉だと思われがちですけれども、ぼくは、あれは、バブル経済がもたらした暢気な幻想にとどまっているような軽いものではなくて、それはそれで切実な根拠をもった、時代の変化に対する人々の必死の適応の一つなのではないかと思います。

なーんて、冒頭の序文にありますが、こんなこと書いていたらオオヤギみき氏の本を真に受ける人が増えるだけのような気もしますぞー。
それにしても団塊世代論はかなり面白かったので続編を期待します。巻末には朝日新聞ヤングアダルト読書室の掲載リストも載っていてちょとお得な感じでした。
評価A−