アマゾンの秘密──世界最大のネット書店はいかに日本で成功したか

アマゾンの秘密──世界最大のネット書店はいかに日本で成功したか

アマゾンジャパンの立ち上げスタッフの一人である著者が、アマゾンのマーケティング戦略の一端を紹介してくれています。面白いと感じたのは4つ。
1 通常一般のマーケティング戦略では二十代後半のセレブ志向の女性をターゲットに、という顧客プロファイリングを基本とするが、アマゾンではあくまで購入者の行動パターンの集積から解析された「この本を買った人は、こんな本も買っています」という単品データの相関性からリコメンドを決定するシステムを採用している。
2 すべてのマーケティング予算がCNC(新規顧客獲得コスト)という指標で企画されている。露出量や到達率といった通常の指標は評価されない。ヤフーで検索するとそのキーワードに関する本が表示されるシステムは、この発想に由来する。
3 実験した結果、カスタマーレビューがあるかないかで本の購入率が大きく変わる。CDの場合はあまり変わらない。そのためカスタマーレビューには1万円の価値がある、とアマゾンでは評価している。最初のレビューを書くと商品券があたります、というのはこれに基づいた戦略である。
4 アマゾンで商品検索をかけてからの購入率が、諸外国のアマゾンサイトと比較して日本のサイトでは数%低い。その原因を調査すると、TRCなどが作成している書籍データベースのキーワード設定が却って購入の邪魔をしているという結果に。キーワードを削除したマスタを使用すると、2%購入率があがったという話。日本での書籍マスタはデータベースとして使用できる質のいいものがない。
どれも現在の日本の出版業界が課題として抱える問題です。1とか3とかは現場でも応用がきく話ではないかと思います。4については、日本で共有のスタンダードマスタ(しかも質的に高いもの)を構築することが出来れば、それだけでビジネスとしてやっていけるよ、というぐらい今システムの最前線では必要とされているものです。
アマゾンの暗黒面も含めて、ちょと勉強になる本です。評価C+
バカのための読書術 (ちくま新書)

バカのための読書術 (ちくま新書)

私自身、かなり著者の想定する「バカ」の定義に近いので、大変納得しながら読ませていただきました。巻末のバカが読むべきリストに沿って、読書していきたいと思うしだいです。評価C−
新建築ウォッチング〈2003‐04〉TOKYO EDGE

新建築ウォッチング〈2003‐04〉TOKYO EDGE

朝日新聞に連載されていた、東京の新建築物の案内をまとめたもの。積読中。