ANGERS RAVISSANT
昨年秋にオープンした大阪梅田のハービスENTに行ってまいりました。ここは四季劇場やブルーノートなんかもある、オトナのスポット。六本木ヒルズのような高級感あふれる商業施設なのであります。その中に本を売っている店があると聞いたので訪問してみました。
ハービスENT、あまりお客さんが入っていませんでしたが、入っているテナントは有名どころばかりです。グッチ、コーチ、ティファニー、イヴサンローラン、オメガ、イルムス、ブルガリ……めまいのするような豪華さです。ゴージャスなエスカレーターに乗っている自分がどんどん惨めな気分になっていきます。確かに梅田にはこういう六本木ヒルズ的なバブリーな商業施設が阪急百貨店以外にはなかった気がしますので、成功するのかもしれません。しかし家賃高そうです。薄利な本屋がやっていけるのでしょうか。
さて目的の本屋は「アンジェラヴィサント」と読むらしいです。すみません、私のようなバカにも読める名前にしていただけないでしょうか。店内案内図によると3Fの奥の方にあるらしいです。ややっ、3Fの奥のほうの廊下には高級そうな赤い絨毯が敷かれているではないですか。さすがにここまで高級な感じのする本屋は初めての経験です。私のような貧乏人には別世界のようです。ちょと緊張します。
辿り着きました。229坪もある広い店内ですが、えー、店内のほとんどが雑貨屋さんスペースでした。なんだ、ここは書店ではなく本も置いている雑貨屋なのか、と思いきや、親会社は「ふたば書房」。京都にあるバリバリの老舗書店じゃないですか。どうもこの店は、ふたば書房がおこなっている雑貨事業の新業態店舗のようです。
本屋部分を見てみましょう。なんか見たことのあるような品揃えですなぁ。「Travel」の棚に「KGB世界都市ガイド」。「Kitchen」の棚に「パリの空の下、オムレツの〜」。ということは、やっぱり「アルネ」も売ってるし大橋歩のデザイン集なんかもあるわけです。平台にはタッシェンの安藤忠雄の新刊が、当たり前のようにででんと積んであるわけです。あれだ、「246」と同じだ。いかにもなオシャレ系なわけですよ。またですよ。さすがに見飽きてきました。フリーペーパーにこの店のEditが記載されていました。ユトレヒトだそうです。やっぱりなぁ。でもなんでふたば書房なのにユトレヒトなんだろう。
まぁ、最近よく見かけるありがちなセレクトショップなのですが、目新しいところもありました。ジャンル名称のつけ方がちょとひねってあります。「くらしとかたち」がテーマということで、全部部屋の名前になっているのです。「Kitchen」に料理書、「Atlier」に美術書、「Kid'sroom」に児童書、「Yard」にお花や園芸の本、「Wardrobe」がファッション関係の本、「Livingroom」にインテリア関係の本、という感じ。「Bathroom」「Bedroom」「Studyroom」などもありますが、このネーミングはなんかちょっとオシャレ。これは使えますね。パクらせていただこうと思います。
それにしてもどの本も1冊2冊の在庫しかなく、平積みでさえ5冊以内。書籍を本気で売る気は全くなさそうです。実際全然売れているように見えません。なのに、店員さんが5人もいました。レジで談笑していたりして暇そうです。うーむ、家賃は死ぬほど高そうですが経営的には大丈夫なのでしょうか。雑貨の単価と粗利がすごいのかなぁ。
せっかく来たので雑誌を1冊買ってみました。店員さん、即座にトーク。
「お客様、こちらの本は、お客様ご本人様用でございますか」
なるほど、この店では本はただのギフトの一つでしかないわけね。総合評価45点。やっぱ雑貨屋だわ。