弘栄堂書店

chakichaki2005-05-07

JR吉祥寺駅の改札をおりたら、すぐ目の前という超一等地にある本屋さんです。135坪あるそうなのですが、いつ来てもお客さんにあふれ店内を歩くのにも苦労する人口密度の高い店です。さぞかし売上もよいお店なのでしょう。うらやましい限りです。
吉祥寺の弘栄堂書店といえば、「Hanako」を日本一売る店ということで有名なのですが、どれぐらい売れてるのでしょうか、ちょと調べてみました。http://mytown.asahi.com/tama/news02.asp?c=5&kiji=623に掲載されていたので引用します。

JR吉祥寺駅ビル内の弘栄堂書店は雑誌「Hanako」の吉祥寺特集号を2万冊仕入れた。銀座特集でも、せいぜい100冊。駅前の東急百貨店内の紀伊国屋書店も、通常号なら10冊のところを特集号に限り3300冊を用意した。
2月26日の発売から10日間で、2店合計して5500冊がさばけた。

に、にまんさつ…!?想像を絶する数字ですね。うちの店にはそんな冊数置き場すらありませんよ。
さて、そういう意味ではちょと常軌を逸したこのお店なのですが、そうした店なりの面白い工夫がなされていると知ったのは5年前のこと。「Hanako」を日本一売る店に聞くというどこかの新聞にその記事が掲載されていました。
それが女性誌の売場ゾーニングの工夫。何と、弘栄堂書店では女性誌の場所を、わざと買いにくい通路幅の狭い場所に配置しているというのです。店長さんが言うには色々な場所を試したけれども、女性誌はその狭い場所で売るのが一番売上があがったのだとか。つまり元々女性誌売場は立ち読み客が非常に多いジャンルなのですが、通路幅を狭めることによって立ち読み行為を不快にすると(要は立ち読みしていると他のお客さんとぶつかる)、立ち読みしたくない⇒でも読みたい⇒しょうがないから買う、につながるというわけ。これはびっくり。驚きのセオリーです。
通常、書店が女性誌売場をどこに配置するかというと、入口近くの買いやすい場所と決まっています。これには2つ理由があります。1つは、入口から見たビジュアルを華やかにしてお客さんが入店しやすくするため。まぁ、これは反対の例を考えればわかりやすいのですが、たとえば入口入ってすぐの場所に車やバイクの雑誌がたくさん積んであって、ガラの悪そうなオッサンやお兄さんがわらわらと立ち読みしている店があったら、ちょっと入りづらいでしょ?変な言い方ですが、女性誌を立ち読みされている女性のお客さんは書店側にビジュアルイメージ客として利用されてるんです。ファッション誌読む方は若くて綺麗な方が多いですしね。もう1つの理由は、女性誌の重さ。女性誌は非常に重量があるため、持ち歩けないのです。すぐにレジに行ける場所(入口近く)に売場を配置するわけなんですね。私は昔このセオリーに歯向かって女性誌売場を一番奥に変更し、見事に売上を下げたことがあります。
しかし、弘栄堂のセオリーは、これらとは全然別次元のセオリーですねぇ。普通は買いやすくすることで売上をあげるものなのですが、買いにくくすることで売上をあげるとは…。私は雑誌売場の通路幅は1500とるのが常識で、通路幅狭めると立ち読み客でむしろ売上落ちるんじゃないかという固定観念から逃れられなくて、この話を聞いたあとも怖くてこのノウハウを実施したことはありませんが、弘栄堂はすごいこと考えるなぁ…。
でも総合評価は65点なのです。えー、梅田の紀伊国屋もそうなんですけど、人がうじゃうじゃいるところは根本的に苦手なのであります。本を選ぶ環境じゃない。すみません。こんな私的な理由で。
ところでこの弘栄堂書店は、吉祥寺駅に直結しているロンロンという商業施設の2階にあるのですが、ロンロンは2階から1階に下りようとすると、一度地下1階までエスカレーターで降りてからまた1階に上らなければならないというわけのわからない構造になっております。腹立たしい限りです。消防署は指導してやってください。