あほらし屋の鐘が鳴る (文春文庫)

あほらし屋の鐘が鳴る (文春文庫)

斎藤美奈子の毒舌書評の原点とも言える本著がようやく文庫化。やはり10年前の本ということもあって、斎藤さんご自身のフェミ論もネタ自体も「古っ!」という時代錯誤な話もありますが、時々見せる「ここが変だよ日本社会」の鋭い切れ味はさすがなのであります。
書店的に必読なのは、「女性誌探検隊」と題された女性誌の分析批評です。これは面白い!
例えばこんな感じ。「anan」「non-no」「JJ」を三姉妹に例え、次女「non-no」について

一歳年上でセンスも頭もいい姉「anan」に、「あんたは高校出たら地元で就職しなさい。娘が二人とも東京で不良になったら、お父さんやお母さんがかわいそうでしょ」といわれ、特に疑問ももたずその通りにした人のいい妹、みたいに見える。

「JJ」については

オシャレでアヴァンギャルドな長女と、しっかり者で堅実派の次女の後に誕生した彼女は最初からミもフタもないというか、自暴自棄寸前の開き直ったところがあった。
「ふん、姉さんたちは気どってるけど、ようするに女の子たちのモノが欲しい願望を刺激する雑誌なわけでしょ。ならば、あたしはあたしらしくやるわ」

わかりやすいです。私自身はまったく女性誌は読みませんので、こういう本で(歪んだ?)知識を蓄積していくのはとても楽しい。他に「すてきな奥さん」「ミセス」「Cawaii」「コスモポリタン」「SAY」「日経Woman」など22誌がとりあげられています。笑いました。読んだことがある方が大半かと思われますが、もしまだの方がいらっしゃいましたら、ぜひご一読を。評価B+